あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  谺 雄二さん(3)




残暑


ボクハ、ボクノ軀ヲジロジロト眺メダス

(タブン不意打チダッタノダロウ)

ボクノ軀ハ、シワガレタ音タテ

トマドウ

ボクノ視線ニ羞ッテイル


ヨシトイウ女ガ、十一番目ニボクヲ生ミオトシテ二十一年

ヨシトイウ女ハ、ボクト同じ「ライ」ヲ病ンデイタガ、ダイブ前ニ死ンダ


━━マ、マ、松ボックリノ河流レ。レ、レ、蓮華ノ花ガ開ィライタ。タ、タ、狸ノキンタマ団子デショ━━


八月末の太陽ハ出サカリデアル

庭ノ大輪ノ
向日葵ひまわりノ黄ガマブシクテ

ボクノ眼ハ、涙ヲタレナガス












ユメとボク



朝がた

目が覚めると

布団の裾にうずくまって

ユメが寝息もたてずに眠っていた

ついいましがた帰ったばかりの様子で

疲労の色濃くうす汚れていた

やつはいつもこうだ

ボクが眠っている間にどこへともなく抜け出て行って

ボクが目覚める時刻に

ぐったりと疲れきって帰ってくる

そして日がな一日

昏々と眠る


『鬼の顔』の頃

ユメは春の<六合村の街道を

片眼つぶって

ビッコひきひき

えっちらほっちら>この尾根にやって来て

長旅を終えたかのように

ボクと暮しはじめた

━━あれからもう十五年

べつにどこといってかけ廻ることなく

ユメ凍らすこの尾根の真冬には

氷柱となって

じっと春を待った


ところがどうだ

ある日突然

ユメはボクをふりむかなくなった

此処はやっぱりふるさとじゃないという

ふるさとじゃないからふるさとを

いまから探しに行くという

あいにく外はどしゃぶりの雨だったのに

ユメは傘もささず

裸足のままビッコひきひき出て行った

行くあてもないくせに

頑なに片眼つぶって


翌朝ボクが重い眠りから目覚めてみると

ずぶ濡れのユメが帰って来ていて

ぶるぶる震えながら眠っていた

それ以来ボクが起きている間はユメが眠り


ボクが眠りにつくとこんどはユメが

夜な夜なふるさとを求めて

この尾根からの彷徨をくりかえす

そんなユメとボクとの

全く奇妙でちぐはぐな関係が

もうずいぶん前から続いているのだ

だから片眼でビッコで

ライのふるさとを

あてどなく探し求めているボクのユメを

不眠の夜に

あなたもどこかで見かけませんか?


(『鬼の顔』=谺雄二詩集・1962年、昭森社刊)




2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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