あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  香山末子さん(5)



空に座って


澄んでいる空 真っ青な空

二十何年も見ないんで

おあずけ おあずけ

これからも何年も何年も死ぬまで

おあずけしたまま

見るのはもう夢だけ

真っ青で

澄んでいる空色が

あの空の上でピーンと張っている

手でさわったらどんな感じだろうな

毎日毎日外科通いしている

繃帯を今日も巻いてもらって帰る

うっとおしいこと

あのピーンと張った空の中で

じゃぶじゃぶと

洗えたら

なんぼか気持がいいだろうな

いっそ あの空に上って空の上で坐って

空を撫でていたら━━

そんなことばかり考えて









母の面影


お母さんも日本にきていた

お母さんは朝から晩までため息をついて

私の病気を嘆いていた

私が家に戻って半年後

お母さんは心が変ったように

国へ帰ると頑張りだし

言葉もわからん、末子が病気になっては━━

情けない 情けないと繰り返して

私が入園すると帰って行った

重い心を私一人が背負っているようだった


それから三年たったある日

お母さんが亡くなった、と

おじさんからの便りであった

私は一晩中闇の中を歩き廻わりながら

お母さんの面影に向って

掌を合わすばかりだった









汐風


十五銭のうどん一杯

うまい、匂もいい

あんなうどんは

もう戻らんだろうな・・・


夜中の十二時

豊橋の駅

最終列車は止まった

みんな店を閉めて

静まっていたが

店屋のおじさんに

特別にたのんで作って貰ったうどん

十五銭か二十銭の

あのうどんを食べた時は

病気もない

何んの苦労もなかった

大きな希望に燃えて

先に日本へ来ている主人の

そこに胸の思いは走っていた


唱和十六年三月十日

豊橋の駅に着いた時には

真暗い駅で

夜明けまで待っていた

汐風が冷たく

一番電車を待つ時間が永かった


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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