あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  香山末子さん(1)



カラーテレビ


初めて東京から来てくれたお客さん

暫く話をしていたが

「香山さん、失礼な事聞いていいですか」

失礼な事聞いていいかと言われた時

私は男のことばしか言えず

俺が俺がと使っていることか

それとも、頭を刈り上げていることか

てっきりその話だろう

そう思い込んでしまった

「見えないのにどうしてカラーテレビが入っているの」

私の思っていた話と違って

チョッピリきまりが悪かった

「白黒の小さなテレビでもいいんでしょ」

盲人の耳は

耳と目の両方を兼ねている

カラーテレビは白黒テレビより

遥かに音がいい

離れたり、くっついたりの若い男女

熱がいっぱい燃え上がるドラマ

始まる時、終る時の音楽は

きれいで柔らかく、いい音

出て来るドラマの若い衆に

年も忘れ、盲人ということも忘れ

頭の中、胸の中で

昔を振り返って

最高にいいぞ

来たお客さんは

「へんな事聞いて馬鹿みたい、おれ本当馬鹿みたい」

そんなふうに云って帰っていった










暗い原稿


沢山な詩原稿を持って行って

一つくらいは合格するだろうと思っていたのに

━はい書き直し、と云われて帰る足どりは重い


やっとの思いで帰ったところへ

栗林先生が面会に来てくれた

私は先生に原稿を見て貰った

先生は何も言わずに他の話ばかり

やきもきしている私へ

帰りぎわ

━香山さん貴女は笑い声と大きな声が似合います━

━暗い詩は似合いません━

そう云って出て行ってしまった









面会


四十年ぶりに姪と再会した

「おばさーん」の一声で

何を喋っていいのかわからない

撫ぜてみると

背が高くてがっちりとした身体

姉さんに似て大きいね・・・

と言っても言葉が通じない

彼女が何か云っても私にわからない


私の指のない手を握って

泪をすすっていたが帰って行った

三つの時別れた彼女の姿が浮かんで

韓国の話や姉さんのこと

山ほど話があったのに

胸がいっぱいで言葉が出ない

言葉がわからない

私は一晩中眠らず闇に残された



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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