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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  桜井哲夫さん(10)



山葵がきいています



独身寮の食堂

十人の療友が夕餉の食卓を囲む

今夜の献立は鮪と烏賊のお刺身

二十年も三十年も

同じ釜の飯を食べてきた療養所家族

故郷も年齢も違っているけれど

いつも一緒に食卓を囲む療養家族


御馳走さまと

補装具のついたスプーンをテーブルに外す

哲っちゃん お刺身が一切れ残っている

あーんと口を開けてごらん

あーん

桂大根の陰に隠れていたという刺身一切れ

つるりと口の中に滑りこんだ

食堂の換気扇に孵ったばかりの燕の雛よ

今夜の刺身は

山葵がよくきいてますね










夜の庭


静かに静かに窓を開く

秋の夜の病室の小さな庭は

虫たちのコンサートホール

燕尾服の閻魔蟋蟀はコンダクター

白いドレスに真珠のネックレス

鈴虫はソプラノの歌姫

長い髭をピンと立てた邯鄲は

夜の空気を震わせて歌うテノール歌手

コントラバスは青い服の松虫

小さな庭は私の小さな宇宙

過去も未来も五色のイルミネーションに輝いている

たった一人の秋の夜の音楽会

秋の夜の庭は闇を照らして輝いている











オモニの子守唄


幼い男の子を背中に

韓国人のオモニは

国立療養所の門を潜った

子供は所内の保育所に預けられた

授産施設で仕事を覚え社会へ出た


風の吹く日も

雪の降る夜も

オモニは息子の帰る日を待って

子守唄を歌い続けた


オモニは死んだ

オモニの息子は帰って来なかった

チマチョゴリのオモニは柩に収まった


雪が寮の窓を打つ

今夜も聞こえてくるよ

オモニの子守唄が



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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