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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  桜井哲夫さん(8)



宿り木



どどどどー ごごごごー

風は雪を飛ばし地をゆるがして唸り吠えたてる

二千メートルの高地の夜を

朝の寮舎の庭に雪は山を築く

シベリア寒波の通り過ぎた雪の大地に

四囲の上毛の山脈が白く映える

目を上げた空に宿り木の紅い実が痛く沁みた

白樺の枝に水
ナラの枝に

いつどこからきたのか

宿り木の淡緑の枝は冬空にその姿をとどめる

風の痛い朝

若い女がらいを病み肺結核を併発して死んだ

谷の水楢を伐採して火葬した

伐採した水楢の枝に

紅い実をつけた宿り木があった

私はその日初めて宿り木を手にした

手にした宿り木を若い女の柩にのせた

柩は宿り木をのせて炎の中に消えた

今夜も寮舎の軒を鳴らして風が吹いている

耳をあてた枕の下から地の揺らぎが聞こえる

光を失った網膜に

遠い日の宿り木の紅い実が鮮やかに映される

どどどどー ごごごごー

どどどどー ごごごごー

痛い痛い痛い

宿り木の実の紅が眼に沁みて痛い

宿り木は白樺と共存し

宿り木は水楢と共生して

冬枯れの空に沁みて痛い









入浴



毎週水曜日は

私の入浴日

アンダーシャツにポロシャツ

ズボンにズボン下 パンツと

介護員さんは着替えを整えてくれる


浴場の中は

介護員さんと入浴の人がいっぱい

浴槽を溢れる温泉に

老いの身をゆったりと浸す

温もりが汗となって 顔から流れる

介護員さんは手早く身支度してくれる

体重計は39kgと教えてくれた

体重計を離れ

思わず「万歳」と叫んだ

温泉ホカホカ笑ってる










飛龍



消燈を終えた病室の静寂を透かして

梅雨空の彼方から飛龍が飛んできた

私に盲人将棋を教えてくれた

私に将棋の激しさを教えてくれた

私に将棋の喜びを教えてくれた

らいの緋玉を抱いた私の飛龍


九段九行の詩を書いた

九段九行の将棋盤に

八十一文字の創作を書いた

盲人将棋を覚えて三十有余年

飛龍は私と共にあった

(※ 飛龍は将棋用語、飛車が成った駒)


2030年 農業の旅→ranking

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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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