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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  桜井哲夫さん(7)


無窮花の花は何時開く

━━故村松武司先生におくる



1993年9月26日日曜日東京の空に遅い夏の光が淡く流れていた

信濃町千日谷会堂の玄関に車から降りる

栄子未亡人の優しい声が迎えてくれた 淋しくなりましたといういう夫人の声に只々二度、三度頭を下げている

草花に囲まれた先生の遺影に長々と黙祷を贈る

さっき会堂のフロアーで渡された村松先生略年譜の表紙に描かれた無窮花の花が鮮やかに光を失った網膜に開いた


韓国の友が贈る言葉に一瞬の静寂があった

松っさん何故死んだ悔しいよと友は号泣した

京城中学校の同級生は叫ぶ 一緒に韓国に帰る日を胸に今日まで頑張って来たのに君は何故僕を残して旅立ったのか

先生 貴方は日本の国籍を持つ韓国の人だったのですね

先生 貴方の祖国は一つ無窮花の花咲く韓国は貴方の祖国

韓国の友を日本に残し貴方は韓国に帰らなかった

帰らない韓国には貴方の無窮花の花はまだ開かない


韓国の友と肩を並べ京城の酒場でカルビを肴に酒を酌むのは何時

クッパやビビンバの丼を空にし丼を叩いてアリランやトラジの歌を唄うのは何時

その日が来たら私の二十六歳で早世した妻も一緒に連れていっておくれ

平壌の店先で父に買ってもらったチマ チョゴリを着た妻の胸に無窮花の花を飾って欲しい


先生 私が立つと貴方は、何時も靴を履かせ白杖を握らせてくれた

私が座ると座を整えコップに酒を満たしてくれた

沖縄の那覇のお婆さんから買ったというアンモナイトの化石を唇に触れさせながら貴方は美味しそうに杯を傾けた

何時も貴方の優しい眼差しが私を包んでくれた


植民地侵略の責めを為政者達は言葉巧みに笑って誤魔化す

強制従軍慰安婦の傷の痛みには口を噤んでそしらぬ顔

先生 貴方は一人で重い荷を背負いました

山の療養所に足を運び町の酒場で韓国の友と語らい杯を交わした

先生 たった一つの貴方の祖国に無窮花の花が開くのは何時ですか

貴方の無窮花はまだまだ堅く小さな蕾です



(註 無窮花とはムクゲで、韓国の国花)
2030年 農業の旅→ranking

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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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