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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  桜井哲夫さん(3)



ー鎌倉観音堂にて
 

火山列島のまんまん中

群馬倉賀野は真佐子の故郷

水力発電技師を父とした真佐子は

川に生まれ、せせらぎを子守唄に成長した

工事が終わると父は川の流れとともに台湾、朝鮮へと流れていった

台湾花蓮港の女学校に入学した真佐子は北朝鮮鴨緑江の工事を半ばに家族と別れ故郷の女学校に転向してきた

女学校を卒業した秋、真佐子は敗戦間もない楽泉園の門をくぐったのです

私の傍らに立つ結婚して間もない真佐子の瞳は

給食棟の煙突から吐き出される細くて弱い煙を離れ、勢いよく立ちのぼる火葬場の煙の果てを追い掛けている

食糧も治らい薬もなかった終戦当時のらい園の火葬場には煙の絶えることはなかった

二人の薄い布団の中にも忍び寄る明日の不安の煙が流れていた

十九歳で結婚した真佐子は二十六歳の激しく雪の降る朝、私の腕の中からするりと抜けて消えていった

死亡診断書には白血病とあった

私は今、鎌倉観音堂の前にひざまずいている

僚友の鳴らす鐘の向こうに真佐子の唄う口語と散文によるラブとエロスのセレナードを聞いた

浅間山は限りなく高く

空は果てしなく青かった

真佐子の唄うセレナードはいつまでも地底深く炎となって燃えたぎるのです



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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