あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

多摩全生園  国満静志さん(1)



干柿



皮を剥ぎながら

その柿が弾みにころころと転がり掌から落ちると

溜息しながらそれを拾い丹念に皮を剥ぐ

干柿に作るそのひとつひとつを

掌の皮膚には皺が暮しの翳影に窪み

指は風浪の中に生きてきたきびしさの痕の節が高い

その母は

背を曲げて夜々に柿の皮をむいたことだろう


今日 流離の涯にいて不貞の子の私に

そこばくの小包が届いて

ときほぐしてゆく包の中から干柿が出た

私はその赤い肉の柔かな一つを掌に乗せはや涙ぐむ


溢れくる涙の味わい

それは古里に遠い流亡のほろ苦さ・・・

そうして報ゆることのなかった虚しい悔恨・・・

ああ だがそれにもまして干柿ひとつを前に置けば

茫々の隔たりと久しい流謫の後を

渺々と広がってくる古里の遠い山河


枯林の寂寥の日々に蘇ってくる慕情が

干柿を喰いながら遥かな母の胸に

乳房を探ろうとするのだ










蜀黍



畑に畝をつくり鍬を打ち

そして柔かくした土の上に

ひとつひとつ蜀黍もろこしの実を母は蒔いた


芽が並び

瑞々しくそれは葉になり茎に育ち

雨と風の日に生長した

猛々しい夏の日々・・・

ひと光 又ひと光

雲の襞を裂いて稲光が疾る頃

母の播いた蜀黍に見事な実が太っていた


貧しかった暮しの中に

だが何んという豊かな夢が

たわわに緑の葉を張った蜀黍の下にあったことか

・・・・・・

母の丹精と忍従と

そうしてそんな中に大きく膨む子達の夢の輪郭

・・・・・・


歳月は過ぎて

久しい日々の涯に母を想う

微笑とその目差の深かった日のことを

今日 蜀黍に風が立ち

さざ波のように揺れ

月の雫が碧く滑っている暮れの簿明に

私の母を恋うる童心が

歌を歌うのだ



2030年 農業の旅→ranking

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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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