あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

多摩全生園  館 祐子さん



或る夜



星は見えなかった

思案気な秋の灯が

小さな

世界を作ってくれた


私がそっと一丁のナイフを握った

その 瞬間 甘い幻想が飛び散って

鋭くとがったその切先が

灯を反射して

快く私を招いた


私は

 ナイフの中の

 安息の

 家の彼に

 招かれ

 彼に

 ぐいと魅せられ

 熱い頬をあてた










空が晴れている

裸木が春風の中で

嬉しげに合唱しつつ

かげろうと共に踊り始めた

その中で

ひいらぎ

お前だけは喜びを唱わないのか

その姿はいつもあおく堅く

空っ風土埃をかむって

無表情なお前なのだ


暗うつな緑よ

憤怒の棘よ

その裡にかくされた不屈と忍耐の魂

仲間の樹々が散ってしまっても

お前は烈しい寒風に

厳然━━負けなかった


孤独孤高な柊よ

私は

お前に限りない親しさを覚える

お前はやがて

棘を持つ厚い葉かげに小さな花をつけ

ひそかにほろほろと

地面にその白い花をこぼす



館 祐子(中野宏子)さんの略歴
1933年6月2日東京都に生まれる。1944年多摩全生園に入所。詩話会に所属し、「多摩」などに作品を発表。


2030年 農業の旅→ranking

このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カウンター

QRコード

QR

検索フォーム