あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

多摩全生園  木谷花夫さん(1)


生れくる日に

療養所に於ける癩者の結婚には幾多の問題はあろう。が、結婚前に断種手術を受けるのは、人間としてのせめてもの良心に依る。思わざる衝撃は、それだけに私達を動顛させ、深い苦悩に突落した。



1 胎動

癩園に妊りたれば妻の上に挑み来る仮借なき声よ眼よ




妊りし妻に対ひて断種せしわが身の何を言はむとぞする





つきつめし思ひをもちてわが立てば泪ためつつ妻の眠れり




親と子の生活許さぬ癩園の規則の中に子を生まむとす




Ⅱ 出生


颱風の過ぎにし月の光る道ひた走るわれに子の生れむとす




生れし子を連れて移りし病棟の個室を飾るもの何もなし





子に感染す病ひを怖れ断たしめし母乳を夜半に妻しぼり捨つ




或る夜ふと恐しきおもひわれに湧きみつめ居たるに子の笑みにけり





Ⅲ 別れ


子を遠く行かしむわれら生の世に又会ふなどと思ふべからず




子に着せてやるべく妻の縫ひ上げし衣はなやげり冬更けし燈に




病む親のゆゑに離されてゆく吾子がやがて嘆かふ時迎ふべし




Ⅳ 子に会ひにゆく


子の写真うつしきたらむと借りてきしカメラいくたび手にする妻ぞ




傷のごと残れる痛みわがもてりいかに名告りて会ふべきぞ子に




とまどひを持ちて撰べり子に履かす赤き靴青き靴小さき小さき靴




船下りて島の坂道を登りゆくわが子よ会ひに父われは来し





Ⅴ 保育所


幼子に飴の包みを握らせてはや術のなくわがありにけり




言葉知らぬ幼子にして何思ふわれに一途なる瞳を向くる




人目なき山陰に来てわが抱くあはれわが子のその小さき体




たはやすく又来たらむと子に言ひてわが身虚しき涙たたへつ



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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