あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  辻村みつ子さんの川柳解説(10)



長島愛生園の雰囲気を変えた・・・。かなり衝撃的なデビューだったのではなかろうか。


解説によれば、平成4年4月刊行の異色の個人句集『海鳴り』(辻村みつ子)の序で、大森風来子は次のように辻村みつ子を紹介している。

たじろいだふりで女はたじろがず

風みどりなんときれいな霊柩車


これは昭和56年度岡山県文学選奨川柳の部の入選作品として、審査会会場で俳句、短歌、詩、随筆、小説の各部門の先生方から特に二つの作品について絶賛を浴び、川柳部門を担当していた私にとって、とても肩身の広い思いだった。

遥かなる人を海鳴り連れてくる

荒波の砂も涙も人恋いよ


全盲に近い日常生活を思う時、すべての事象を音と匂いを媒介として自分の脳裏に受け止め、空間にあるすべてのものを理解しようと懸命に生きている。


『海鳴り』より

美しい薔薇に飼われている毛虫

笑い声たてて別れに耐えてます

陣痛の呻きも知らぬ病葉よ

生きよ生きよ玉菜に肉を包みこむ

ラブ・イズ・オーバーなど唄ってみる日暮れ窓

白いショールに触れないでよあなた

海の鳴る日はきっちりと窓閉める

みやこわすれに私も忘れたと告げる

ジョークですか本心ですかそのうたは

左眼からこぼれるものは皆こぼれ

血まみれてまだそびえ立つ自尊心

女ゆえ指繃帯がすぐ汚れ

生きるとはスプーンの粥を飲みくだす

輝ける鴎のごとき翼欲し

痛みにも嘘にも慣れて日本晴れ

良薬を男にもらう十二月

大切な人失ったのは九月

壮烈な音で散ったよ療花火

泥舟に乗るほど命安くない

波キララ 私もキララ 死もキララ

大声で泣くだけ泣けて目が見えず



まさに鮮烈な句集。時実新子の句集もテープで聞いたという辻村みつ子に川柳を選んでくれてありがとうとお礼を言いたい。

人はどんな不条理な環境にあってもその存在を失わない━これが数多くの作品を読み終えた私の感想である。
(この巻の解説 田口麦彦さん)


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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