あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  千葉 修さん



長島八景

六 手掛秋月

(2ページです)

 手掛島は、長島の南にポツンと離れた一握りほどの島である。満潮ともなれば文字通り一衣帯水の距離にある一景勝である。しかもそれが療舎を出れば一歩という手近差なので、病友たちの殆どはたいていこの手掛島へ渡って行っている。それに、私たちの氏神、長島神社があり、干潮ともなれば、絶えず幾人かの参詣者を見る。
 私が島に来た当時、長島神社の例祭には、参道を繋ぐイルミネーションが実に美しかった。戦時から戦後にかけて中絶していたこの装飾も、最近どうやら復活して、新しい入園者を殊の外喜ばせている。
 参道の干潟を渡り、七十七階の石段を上りながら、左右に古びた唐獅子の一対を賞出て、やっと辿りついた宮居の斎庭にはいつも箒目が新しく、その上にちらほらと松葉の散り敷いているのも床しい。長島神社の例祭は六月七日で、脱帽の頭を暑い日射に照られながら、禰宜の祝詞と木履の音を虔しく聞いた印象も懐かしい。
 この宮居の御神体が光明皇后で、悲田院の昔、癩者を御自ら浄め給うた史実が、つねに私たちに一大光明を注ぎ、世人への絶えざる啓蒙となっているのは、あまりにも有名である。それが貞明皇后の御坤徳につながり、綿々としてわれらの上に慈悲を垂れていられるのである。
 この手掛島が、仲秋の名月の夜、金波銀波を背に、ひときわ美しく海に浮び、私たちにこよない観月の場を提供してくれる。長島とこの手掛島の間の空から昇る月が、真正面の官舎地帯からは格別によいらしい。
 四季の変化のまにまに、それぞれ私たちを娯しませてくれる長島の景勝の中で、この手掛の秋月は、不自由舎からでも気軽に出掛けられ、重病室のベッドからも窓越しに眺められるので、特に弱い病友の恰好の遊歩の場なのである。


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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