あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園(邑久高校新良田教室) 西原桂子さん


夕暮


枯れたはっぱが一、二枚

からからからと

舞いながら

白くかわいた道を横ぎって

小さな水たまりにおちた









春の日


麦の穂が出揃った


子供達は

水々しいのんびりとした空の下で

青々とした原っぱで

眠むたそうだ


子供をおぶった小娘が

たんぽぽをつんでいた


どこかで牛がないた

(1957・2・22)  
 







ある時


あんまり風がひどいので

ガラス戸を細目に開けて

外を見た

うす汚ない猫が

桜の木の下をとおっていた


あんまり風が冷たいので

両手で顔をかくして

その指の間から海を見た

狂ったように荒れていた


すべて すき間からのぞいた

淋しい時だった

(1957・2・21)









ねずみ


お前の姿の なんと愛らしいことよ

しかし お前が

あの憎らしい野ねずみの子であるなんて


お前が私の手に入った時

私は今までの一番懐しいものを見たような

不思議な感情にひきずりこまれた


村の田舎のたんぼで

うず高く積まれた藁の中に

お前の仲間がふるえていたのを

私は幾度見たことか


お前には親の罪がわからない

だのにお前は人間に嫌われる

でも 私は嫌わない

私だけはお前を

私の胸の中にしっかりと抱いてやるのだ


お前の愛らしい姿を見ると

大きくなっていくお前を恨みたい

お前だけは

今のままの

この愛らしい姿でいておくれ


お前が

私の意志に反して大きくなると

私は最愛の持物を取られたような

深い悲しみに陥ちいることを

お前は知っているだろうに


さあ 私がお母さんに代って

お前にお乳をあげよう

そして 私のふところに

安らかに眠るのだよ

どこからか

子守歌が聞えるだろう

(1957・9・15)


西原桂子(杉野桂子、杉野博子)さんの略歴
1941年3月14日熊本県に生まれる。1955年中学3年生の頃よりハンセン病の自覚症状があり、中学を卒業した翌年9月11日菊池恵楓園に入所。1957年4月9日、岡山県立邑久高校新良田教室第3期生として入学のため長島愛生園に転園。1961年3月7日卒業して菊池恵楓園に帰園、現在にいたる。1959年、先輩と2人で小詩集『石と少女』を出す。「菊池野」などに随筆、生活記録などを発表。また園内の文章会に入会し、会の雑誌「菊池野文学」に発表。1989年3月から「菊池野」編集長を務める。


2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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