あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  相生義治さん



一粒の麦


私は晩秋の或日人間の手許をはなれて大地に落ちた

そこは真暗なしめっぽい処であった

光を遮られた生活

その中に徐々にふやけくずれ破れゆく私の姿

君は私を滅した

だが君は私をただ滅さなかった

君は私に新しき生命を押し出してくれた

そこで私は喜びの歌声を奏でた


君よお前の鞭の厳しさに耐えずして死んだ私

しかしお前の鞭は私に光を与える生命の鞭だ

噫 しばしの艱難は私に涯しなき栄光の輝きを望み仰がせてくれたのだ











すっぽりと薄こげ茶の衣を身にまとった俺は

ガサゴソ ガサゴソ と

朝露宿る青草をかきわけのりこえそびえ立つ木の根元に

辿りつき上りはじめた

噫 ながいながい暗黒の絆を断ちきって今俺は

土中より出て来たのだ


湿っぽい陰さんな苦悩に閉められていた俺は

たえず四方より迫るその圧力のきびしさに

心は千々に乱れ崩れ嘆き深き淵に呻く

ああ俺は光をのぞんでこの自らを打ちたたき励し頑張り

耐え生きてきたのだ


目的の枝にのぼりついた俺は力をふりしぼり 

衣をかなぐりすてた

ふっくらとした汚点なく傷なき俺が新生したのだ

噫 しかし俺はあの激しい苦闘の追憶が

おもい浮ばずにはおられないのだ

ときしばし

やがてがっしりと整った肉体

俺は時満てりとジーと一声

水晶のごとき衣をいっぱいにひろげ

天翔けるあまがける望んでいた光の中を


相生義治さんの略歴
1946年9月13日長島愛生園に入所。1961年4月23日死去。


2030年 農業の旅→ranking




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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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