あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  芦谷美彦さん



暮色


ふと 活字の上に電灯をつける・・・

鐘をつく音

物思いをさそって

静かに 内海の島々は暮れる

梅雨上りの夕暮の海を漁舟らしい影の

遠くに一つ

近くに一つ

今日という日がこれで終って

信じられないもの

今日という日がこれで終って

疑われないもの

このままで

間隔のあるままで

今日のすべてが過ぎてゆく

後の丘で

鐘のなるこの一とき








宿命


冬の空

孤独の力


言いつくされた悲劇の色合

歴史は遠く人々を見つめ

凍てついている生命論にストロンチュームがとり囲む

現代知能の愛情


意味の存在は 空虚な獄屋

人間はあるものに幸福を考え

又それに奴隷といわれても仕方あるまい


一度より生れないこの世界の人間の宿命

二度繰り返さない今日迄の歴史









そのころ


まだ憶えている

遠いどこかの山の中へ

私のやわらかい心臓をつれこんで

一人ぼっちにした事を


死をあこがれる年ごろ

病気だったころの哲学━━

くるくる廻るものを見た

そいつは自分だけの眼まいだった?

松の梢が月光を遮っているのをみて

何かの叫びをみた


静かな山の中の池の面に猫が投げられて浮いている

青いものが月光とたたかって するどく草の葉先を磨いていた

━━まだ憶えている妙な焦心を━━









或る事


人を知らない

静かな水面に私は小石を蹴り込んだ

別に不思議な事実ではありません

三十年という年月が

この波紋です


それは

律儀な面持のままで静けさに吸れます

波紋はゆれます

音のない場所に

私は静けさを知らないと


すべてはもとの像が恋しい

それは

おちつきのない意志をしのばせて

言葉にならないのです


波紋はゆれてゆきます

人の心にふれてゆきます

沈んだ小石は昨日の体積です




芦谷美彦さんの略歴
1925年大阪府生まれ。1947年長島愛生園に入所。在園中は詩話会に属し、詩作を続けた。1965年頃に社会復帰。


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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