あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  中園 裕さん



鋳型の表情



私は癩園の屑屋です

屑は毎日溜ります

拾っても拾っても堆く溜ります


まだ、二年しかならないのに

屑の中から産出た男のように

もう板について、ゴミだらけで

誰が見ても屑屋は私の天職です


ちびた下駄があります

紙屑、野菜屑、ぼろ屑・・・

屑の名の付く一切が

貴重な、私の荷物です


雨が降れば重いです

風が吹けばゴミは余計溜ります

でも、がんばります

屑曳は私の天職なんですから


みんなお出しなさい

ふところの、ポケットの・・・

・・・心のゴミ屑を

汐の香のたかい

朝の磯辺で残らず焼きませう


朝の空気は軽いです

こころが弾みます

朝日が躍ります

轍のレールが光ります


然し

堆いゴミ屑は無表情です

ゴミ屑に対ふ私も無表情です
 
・・・・・・・・

━━忍従は、永い歳月と共に

悲しみも喜びもない

無表情の鋳型を造って了ったのです


私の、真実の表情は

鋳型の底ふかく、黙っているのです








三十五歳の餓心


醜い故でない

卑屈の故でない

隔絶の故でない

捨られた故でない

不自由の故でもない

━━私の餓心


もう喰物は要らない

着物も要らない

お慰めも要らない

女も要らない

喪った指も、足も要らない

━━私の餓心


短い青春があった

涙もろい母があった

叱らない父があった

訴へる子と、妻があった

━━空白の諦観━━

━━私の餓心


━━溺れ込んだ十五年の私の歴史━━

横柄と遊情と贅沢と

放逸のあけくれ━━

父も、母も、人さまも叱って呉れない

「レプラの座」の孤独━━。


あゝ

いま一度

私は

私を焼爛らす炎の鞭が欲しいのだ。


中園裕さんの略歴
1915年3月20日鹿児島県に生まれる。1942年10月長島愛生園に入所。「作家」「文芸首都」「新日本文学」などに作品を発表。


2030年 農業の旅→ranking



このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

FC2Ad

プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

最新記事

最新コメント

月別アーカイブ

カテゴリ

カウンター

QRコード

QR

検索フォーム