あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  近藤宏一さん


ぼくらの風


健ちゃん

萎えたその手にハーモニカは持てるか

いや 持たねばならない

その唇に ドレミは唄えるか

いや 唄わねばならない


外には風が吹いている

外を吹く風は冷たい木枯らしだ

木枯らしは萎えた手の皮膚をいためる

足のひびわれに血をにじませる

そして ぼくらにはぼくらの風が吹いている

ああ ぼくらの心を吹く風よ

それは決して冷たくない

健ちゃん

萎えたその手にハーモニカは持てるか

いや 持たねばならない

その唇に ドレミは唄えるか

唄わねばならない


たっちゃんもおなじだ

弘も五郎もみんな同じだ

テーブルを叩いて

リズムをとっているちょねさん

窓辺で手拍子をとっているのは鈴木くん

壁にもたれて

天井をにらみつけている義足の輝一くん


みんないま邪魔者をはらいのけるようにして

自分の楽器を脳裏に刻みつけている

それは ぼくらの心の中を吹く風だ


ドラムの川崎のおじさんよ

あなたは五十一歳の足でペダルを踏む

浅井くんよ

きみは貯金と借金で買い求めた

三千円のギターをはじく


ひとつの思い

ひとつの願い

ひとつの音楽

それはぼくらの心の風だ

部屋中いっぱい渦をまき

ごうごうと音をたてるハーモニーだ


健ちゃんよ

萎えたその手から

ハーモニカを落としてはならない

その唇にドレミを忘れてはならない

きのうまで部屋の片すみで

じっと埋まっていた健ちゃん


きょうはそのくらさはどこにもない

生かされてきた昨日

生きぬこうとする明日へ

健ちゃん

ためらうな おじけるな


窓にはもう月が昇ったであろう

外には風が吹いている

ぼくらにはぼくらの風が吹いている

もうみんな覚えたであろう

はじめて生み出すぼくらの歌

みんなでいっしょに風の中へ

それを流しだすのだ


さあ 用意はいいか スタートだ




2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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