あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  近藤宏一さん


君の手


君はその手で野菊を手折って来てくれたんだね

僕の枕もとで匂う菊のかほりはきっと君のその手にも沁みこんでいるよ


今年初ものだったあの蜜柑は君がその手でむいてくれたんだね

甘ずっぱい汁がいつまでも僕の喉を潤していたっけ

僕の見えない眼には君の故里の蜜柑山が一杯に廣がっているよ


君のその手はガサガサと鳴るね

まるで枯松の幹に觸れてる音のようだ

その指は曲ったまま延びないんだね

まるで熊手のようではなかろうか

それに知覚がすこしも無いんだから本のページを繰るのにも暇がかかるんだね


君のその手に僕のこの手はそっくり同じだ

二人が握手してもうまくにぎり合えない手だ

ガサガサと侘しく觸れあう二人の固い手だ

だけどいつまでも力一杯握りしめていたい君のその手だ


(「愛生」1952年4月号)








ひとすじの道 故森岡康行氏を追悼する詩


   夏の太陽の下を

   風に真っ白なシャツをなびかせながら

   海辺の道を駆けてゆく 少年の姿

   消え去ることのない映像・・・・・

   長い時間の鼓動・・・・・


ああ 君は

いま その人生のひとすじ道を駆けて行った

精いっぱい 風のように駆けて行った


少年のころの発病

青年のころの失明 そして結婚

喜びと悲しみとを抱きしめて

しかし君は たえず燃えることを忘れなかった


例えば

手さぐりで育てあげた草花に 息をひそめて近より

その指先にさぐりえた露けきものは

どんなに美しいものであったろうか


人には誠実と柔和をもって臨み

まるで大地に刻みつけるように

生活のひとコマひとコマを 短歌にうたい

君は 決してふり向くことをしなかった


いや もしもふり向いたとしたら

それは残された半身への思いやりが

君の歩みをとどめたのにちがいない

君の歩みをとどめたのにちがいない


(「点字愛生」第110号 1986年6月)


近藤宏一さん1926年生れ 1938年入所
森岡康行さん1929年生れ 1940年入所


2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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