あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  近藤宏一さん



入園番号


四四三四━━これが私の入園番号

骨張っていて

少し不安定に傾いていて

なんとなく泣きべそをかいているその文字づら



治療室のカルテに

年金袋に

選挙のときの入場券に

それはいつでも私の名前と同じ重さで登場し

里帰りの順番が来ると

帰省願書にもその通りに書いてから捺印する

四四三四

四四三四

はじめの頃は他人行儀でよそよそしいだけの

数字であったのに

使われやすくて簡単で

トレードマークのような気軽さと

改名のような親しさと

それでいてなんとなく抵抗を感じさせながら

それはもう三十年も私のなかに住みついてきた一つの抽象

さきにもない

あとにもない

ただひとつだけの私の顔

━━道を行くとき もしもそれが地面に落ちていたら

私はいきなり拾い上げて泥だらけのままポケットにしまいこむだろう

ぶつぶつつぶやきながら しかしごく自然に



やがて私が息をひきとるとき

人事係の帳簿に赤い線が引かれ

それは私とともに再び帰らぬ歴史となる

一から始まったおびただしい数字の行列が

次第に消されていったように

四四三四もまた永遠に空番号となる


(「愛生」1974年3月号)
近藤宏一さん著作「闇を光に」より


なお、「いつの日にか帰らん」の加賀田一さんの入園番号は1507番で、最後の入所者は1970年代に入った方だったと思いますが、高知から来た人で6908番でした。つまり開所以来の愛生園入所者は6908人ということになります。(P74)

加賀田一さん 1917年生まれ 1936年愛生園入所(19歳)

近藤宏一さん 1926年生まれ 1938年愛生園入所(11歳)

加賀田さんと近藤さんの入所は2年しか違わないが入園番号は2927の開きがある。つまり加賀田さんと近藤さんの間に2927人が入所していることになる。
 
この2年間はなぜこんなに入所者が増えているのだろうか。いわゆる「無らい県運動」などで強制入所させられた方が多いのだろう。



2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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