あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  樹島雅治さん


季節風に耐えて
 

だれも通らない

草原に

鈍い光が枯草にそそぎ

過ぎし日の追憶をゆさぶる

季節風が空に鳴っている中で


木枯しは

枯草の上を波のようなうねりをたて

からみあい傷つけあう日々が

せつなげ


白い飢えた土地に

まかれたぼくらの種子

遠い痛みを内包し

その硬い生命には

とじた習性が稔る


北風に吹かれて落る憎悪の花

吹雪の下で成長を続ける毒

かつて記された

どのような傷跡も

けっして消されることはできない


振り向いてはいけない

心の痛みをぬりこめて

過ぎて行く時間の中で

耕やすための舌と手はいてつき

耕やす場所も見あたらない


枯葉が風に鳴っている

その根は氷の季節を耐えているのだ

そうして私は

いつも身内に骨の軋る音をきく

しかしその泥沼の風景にも

鈍い光と影がうごきだす

きまぐれな風が逆浪を立てる










鎮魂歌


友よ 地下に眠る友よ

おまえの再燃の傷口は今も痛むか

あの時はかさかさに乾いていたが

血はもはや流れすぎて

おまえがたえてきた

夜を知るものはいない

あー 苦しいよう! と

骨にひびく声が

 だが

もうききかえすことはできない

無言でおまえの影が通りすぎていった

祈りのように眠りについた

煤煙けた薄ぎたないこの部屋で

あの苦しげな顔が

うすれては浮きあがってくる印画


闇をいっそう重くした中で

自分の白骨とかたりあうおまえ

冬の夜のひえるこの骨部屋の中で

みずからの骨をあたため

自分の白骨の会話を闇の中で

きいているのであろう


おまえがここにのこしたのは

悲痛な叫びの遺産

それは

灰色に洗われた部厚いカルテ

もう救いの叫び声をあげたりできない暗闇

闘い疲れたろう

深く眠りたまえ



樹島雅治(文甲作、小島治行)さんの略歴
1930年山口県生まれ。1945年5月長島愛生園入所。2002年11月死去。



2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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