あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  坂井新一さん


繃帯


繃帯は

白い 小ぢんまりした丸顔で

チョコンと座って居る


丈夫なとき

働いて居るとき

すっかり忘れられて繃帯よ

お前は戸棚の隅に転げて居る


ああ しかし

俺が傷き痛んだとき

繃帯よお前はぐるぐる伸びて

疼く患部を優しく包み温める

俺の唯一の保護者である


繃帯の長さは誰でも計れるだろう

だが 俺は現在いま


計れぬ深い繃帯の愛情を

感謝している 浸っている。










裏口


私は裏口を覗くと

生活のすきまを見せ付けられた様な

限りない淋しさに襲われる
 

他所よそ行きの女の様に



飾り付けた表口を持った家の裏口も

痩せこけた野良犬が

残飯を探める貧しさだ


裏口へは誰も訪れない

華かな交歓は

いつも表口から聴えて来る


だが━━

虚偽の生活に疲れた

人々の蒼白い吐息が

夜更け、
こがらし
の悲鳴のように抜けて行くのだ。 











窓━━

窓は郷 愁ノスタルジアの入口

杳い潮騒が響きます


窓━━

窓は季節の鏡

丘の紅葉が眸に沁みます


窓━━

窓は唖の恋人

僕の傷心が和みます



坂井新一さんの略歴
新潟県出身、生年不詳。19才でハンセン病の宣告を受け、全生病院に入院。六年過ごしたのち、1933年8月9日、長島愛生園に転園。1934年12月26日死去。遺稿詩集『残照』(1935「日本詩壇」発行所)。


長島愛生園が開所した1930年(昭和5年)に「開拓患者」として多摩全生園から85人が転園して来られたが、坂井さんは全生病院から1933年8月に転園されている。その船に志樹逸馬さんも同船していた。
 


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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