あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  島村静雨さん


百年の知友のように
━━病床の友に


何のまえぶれもなく

雪の武蔵野に 吹雪の中をころがるように

やって来て

ただ一度会っただけのお前と何の屈託もなく

百年の知友のように

お前の病床で 掌を執り合って

美味酒を酌む。

三十八度の熱の床で

俺が お前の健康を気遣えば

お前はそれを液状アスピリンだと笑う

一度しか会ったこともないお前と俺が

真実に結ばれて

男と 男が抱き合って

病床で 飲む酒のなんと美味いことだ。

なんと愉快なことだ。

なんと嬉しい人生だ。

俺はまた多くの友を得た

愉快な直さんと

実直で親切な鉄ちゃんや。


こんなに俺は喜んで

こんなに心を温めて

いつ来るとも知れない

泥濘の雪解道を帰ってゆく。


たとえお前が病んでいても

たとえ俺が不自由でも

なんと人生は明朗で

すばらしい。


何のまえぶれもなく

吹雪の中を ころがるようにやって来て

俺は 雪解道を帰ってゆく。


この明るみの したたりの中へ

未来よやってこい。









牧師


旅の途上 わたしは

日頃尊敬してきた牧師の表札に足を止めた。


時折牧師は長島を訪れ

キリストが一瞬にしてレプラを癒した話をし

病める人々のために祈ってくださった。

わたしは 真実 神の使途のようなその牧師の

柔和な 微笑を心に浮べながら

玄関先で

一言挨拶を述べて帰ろうか 止そうか と戸惑いながら

何回も何回も往ったり来たり躊躇したが

玄関に案内をこうた。


ながい ながい時間が過ぎた

そのながい時間を表で立ちつくした。


わたしの眼前に

仁王のような牧師の貌が

蔽いかぶさるように あらわれ

複雑な表情でわたしを睨み返して

荒々しく

  「帰れ。帰れ。帰れ。

  挨拶など どうでもよい。

  挨拶など どうでもよい。」と

怒鳴り散らした。

そこにはもう聖堂でみた祈りの時の厳粛な姿も

柔和な眼差も、微笑もなかった。

わたしは 牧師は神を喪失っていると思った。


わたしは 悔恨の

痛みにうずきながら

街をさまよい歩いた。


紙屑となって風に舞う 傷心を感じながら

わたしは 神とは何か? と反問した。



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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