あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  島村静雨さん


風鈴

盲人の多い島の迷路のあちこちに、円筒形の、或いは六角形の柱に取付けられた風鈴がある。盲人の道しるべである。



島の十字路に、

私はぽつねんと立っている。


海から吹き上げる風は、私の頬をかすめ、

緑の丘を駈け下りる、すると、

私は懸命に胸の鈴をかき鳴らすのです。

毎日夥しい盲人が、

蝸牛の角のような敏感さで、

右左に忙しく杖を振りながらやってくる、

私の前迄くると、一寸立止り、

耳を傾け、

かるく頷いて、立ち去ってゆく、

或る時は見なれた盲人が鼻唄で通ることがある。

私はほっとする、嬉しくなる


時には透明な壁に遮られて、

風がそっぽをむいて行き過ぎることがある。


すると私の胸の鈴は破損れた楽器のように、

もうどうしても共鳴音を発しないのです。


そんな時、盲人がやってきて、

耳を傾ける・・・?

盲人がとまどうと、

私はすっかり困ってしまう。


危い━━

そちらは海、こちらは断崖、

自動車がくる。


ああなんとしよう、

私の風鈴はふるえおののくのです。









種蒔き


バラ弾のようにはじけ

羽音高く今年も島の上空を、

ヒヨドリの群が帰ってくる。


私は力の限り鍬を打ち下す。

一鍬 一鍬

耕す、

大地は土の香。


釣り竿を肩に

落葉をしきなべた山径を、

急ぐ人たちの足音。

手籠をさげたハイキングの乙女等のさざめきが

澄んだ大気にとけて
こだま丶丶丶となって返ってくる。


この満ちたりた療養の
生活たつき
の中で

何を馬鹿げたと、嘲笑するかもしれない

が 私は

萎えた掌で黙々と鍬を振る。


  生きるために

  いや

  喰うために

  いや

何の理由もなく、

ひたすらに種を蒔く。


掌からこぼれる小さな種が、

秋の陽を受けて、黒々とした大地に、

ぱらぱらと落ちる。

私は祈りをこめて土を掛ける。


蒔き終えて ほっと一息すると

潮の香をふくんだ空気が、臓腑にしみるように

美味しい。


鷹が入江の上空を大きく円を描いて

明日の天気を予報する。




2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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