彫刻 ━━癩者の表情━━
彫深い苦悩の淵に
濁った腐水が澱み
━━光うせただれた眼
陥落した山嶺
古の面影とどめぬ悲哀の峰
━━造形美を喪失した鼻
雪崩に変形した丘陵
荒涼と殺伐な平野
━━生彩なく硬直した頬
激痛に引裂かれた地平の地割れ
惨禍の跡は無残にひん曲り
━━サタンの嘲笑に歪んだ口
その貌は笑を失って
呪いと悔恨に満ち
陰惨と翳が住み 歪み
表情は凍てている。
この荒んでいたいたしい広野に
喜びや希望や平和の住家もなく
朽ちてゆく廃都のようだ。
神の見事な傑作。
この傑作になおも深い悲しみと
悩みの魂を与え連日連夜
厳しい試練の責め苦の鞭をあてる
神よ━━
あなたはあまりにも厳しく
あまりにも惨酷で偉大すぎる。
この傑作があなたの御作であるとしたら?
偉大な神よ
不可解な神の傑作よ。
詩について
生きることのむなしさの故に。
生きるあかしのために。
ときのまを燃焼する火花
飛散するいのちの結晶でありたいと
やがて燃えつきるもの
いのちや言葉や願望を
きらめく水晶の刃物と研ぐ