あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  島村静雨さん


裸木になろう


ぼくらも苦い追憶のような

古い枯葉を すっかりふるい落して

裸木となろう。


やがて厳しい冬が襲って来て

北風がヒョウ ヒョウと

梢に鳴るだろう。


吹雪は激しく吹きつのり

激しい試練を与えるだろう。


雪は降りつむ

降りつむ

裸木に。


裸木は

古い枯葉を落して

この殺伐な冬を堪える。


忍従の

この悲しい季節の向うで

銀鈴を振って

銀鈴を振って

待っている季節があるのだ。


愛する者よ。








銃口



男は絶えず 透明な敵を意識した。


その無数の敵に向って 銃をむけ

照準を定めた。


だが

奇妙なことに

銃口はその男の胸をねらっている。











存在価値をなくした耳は

退化し始めた。


強い近視眼は

遠景に焦点が合わなくなった。


耳も 眼も真実をタッチする機能を

喪失したらしい。


口だけが異常に発達した。


二十世紀の貌。











戸棚に魚がのっている。


ぼくが机に向って読書をしていると

風のように 猫が入って来て

鼻をヒクヒクさせながら

しきりに戸棚の魚を気にしている。


ちょっとぼくが背を向けると

忍び足で魚に近づいてゆく。


振り向くと、

猫は姿勢をかがめ耳を後に折りたたんで

神妙に息を殺している。


再びぼくがもとの姿勢にかえると

魚をくわえて 猫は

もう垣根をくぐってゆく。


ぼくは

この習性をつくった猫の歴史を想うて 胸が疼痛んだ。


茫然と猫の悲哀と

猫の仕草に似た人間の悲しみを噛んでいた。



島村静雨(佐々木精一)さんの略歴
1919年9月19日三重県に生まれる。1944年5月6日長島愛生園に入所。患者自治会常務委員などを歴任。1993年8月27日死去。詩集に『冬の旅』『狂った季節の中で』(ともに1955 橘香社)、『島村静雨全作品集』(2002 晧星社)。



「望郷の詩」、「海猫のいる海」、「わたし達は何かを」、「彫刻━癩者の表情━」「島」がよかった。ただ、これらの詩は「ハンセン病文学全集」には載っていなくて、自治会事務所の図書室で借りた「島村静雨全作品集」の中に載っていた。



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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