あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  中本一夫さん



思慕


残した母の生活の中に

忘れてきたもの。


四季の風がめぐり

癩園の道に、山肌に

二ヶ年の流れがかわき

故郷の匂いが

しきりに欲しくなるので

早い夕食がすむと

知人の宅を訪れ歩くのです。


島の道は起伏してうねり

笑も 潤いもある 高い処にある寮

涙も 暖さもある 低い処にある寮

それらを次々に

ある時は 度重ね訪れた。


のぞいているようで

ひそんでいるようで

うごめいているようで

手繰り寄せると

においがする。

しかし私の求めているものは

見つからない。


忘れてきたもの。

  透きとおって
  
  月光がうるんで
  
  鼓動が自然大きくなって。


それはやはり

残した母の生活の中にしかないのであろうか。

夜道の私に星のまばたきが激しくまつわる。

(1951・6)







癩村の盆踊り


悲しみが

再び燃え始めた姿か。

躍りの輪の

野獣的な回転であった。


はやしは叫びのように

手はつかみかかるように

足は地を蹴るように

笑は歪んで

音頭は

「故郷こいし、なつかし」と

しきりに歌った。


熱狂した輪の回転の中に

何かが渦巻いている。


渦巻く輪の中に

人間像の赤裸々な姿。


━━弱さ━━を

私はそこに見た。


躍りの輪の上で

星が一つ

永別を告げたのを

誰も知るまい。

(1951・10)


中本一夫さんの略歴
1926年2月11日広島県に生まれる。商業学校卒業。軍隊生活4か月。サラリーマン生活中に発病。1949年3月30日長島愛生園入所。在園中、「愛生」誌に詩作品を発表。1968年軽快退所。2001年再入所。


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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