あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  小泉雅二さん



海壁

海がある

むこうに幸福の灯がみえる

すくなくとも幸福の灯がみえる

灯がみえる

海を渡らねば幸福がない

渡らねばならない

海がある

壁がある

海に壁がある

部厚い壁があるのだ


━━海


少年は五月空の鯉のぼりとなり

少女は脈動する柔肌を黄昏に沈める


おだやかな

殺人鬼の貌ではない


永い日々を

歩き続けることを教え

黙することを教え

岸に佇つことを教え

嘆き

うろたえ

絶叫させたのは誰か


らしん盤を失い

主軸を失い

それでも北極星に希いをこめる


━━難破船


沈まずに居ることに

どうにか生きのびようと

おなじところを行ったり来たり

そして立ち止って顔をあげ

海面を眺めて溜息する

この生命に喜びが得られるか

と己れをおもい

何時か海が檻になる

海が鉄格子になる 金網になる

己れは囚人になり 猿になり

熊になり 猫になる


━━海壁


海に壁のあるはずはなく

海に壁のあろうはずもない


船が難破する

人々が砕ける 狂って波しぶきになる

立ちはだかる壁を

崩さねば人々の栄えはない

少年の無心な海に壁がある

少女の歓喜する海に壁がある


しずかな海に壁がある


越えねばならぬ

破らねば幸福がない

檻がある

金網がある

人間が猫に劣る

壁がある

海に壁がある


海壁がある



小泉雅二さんの略歴
1933年3月5日広島県に生まれる。1948年7月9日、工業高校を中退して長島愛生園に入所。1955年より詩作を始め、詩誌「杭」をつくる。その後、長島詩話会、「青い実」、「乾漠」などに参加。1958年には「裸形の会」
を結成、詩誌「裸形」を創刊。1964年「らい詩人集団」の結成に参加。1967年失明。1969年慢性腎炎、尿毒症にて死去。詩集『枯葉の童話』(1959 長島詩話会)、『白い内部で』(1962 裸形の会)、『小泉雅二詩集』(1971 現代詩工房)。


随分、年齢の開きがあるように感じたが、小泉雅二さんはぼくと20才しか違わず、健在なら今83才。

万博の1年前の1969年に36才で亡くなられている。

「夏子」や「志保子」の登場する詩が特に印象に残った。

ただ、ちょっと理解できない表現も多く、詩集「枯葉の童話」の多くは割愛した。


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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