あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  山川きよしさん


密かに捧ぐ花


私は自分の耳を疑って

何度も頭を振ってみたが

その出来ごとを打消すことが

出来なかった

6月某日午前八時


三日前のことだった

散歩のついでに

学校の工作室を覗いたら

電気コテを器用に動かし

ラジオの組立に一生懸命だった

何事にも熱中する君

痩身で面長の顔に

いつも微笑を湛えていた君と

私との距離は

無限の空間に犯されてしまった


高校に進学すると張りきっていた君

秀才と噂された君

ラジオの組立てが飯より好きだった君

十七歳の君を

園内の人皆が好感と期待に見守っていた

その期待をかき分けるように

なぜ自ら彼岸に泳ぎゆかねばならなかったのか


生きることは大きな業

無限の拡がりを包蔵しているのに

大きな輝かしい未来が待っていたのに

あじさいの紫が

紅にかわって

梅雨空が

紺碧と化しても

君は遂に還ってこなかった


小さな出来ごとの犠牲になって

大きな仕事を葬ってしまった

君の霊前に

遅咲きの百合を一本

私が献じたことを

誰にも知られたくない

勿論君にも














生涯


灰色の空を

術もなく見詰めていると

今捨てて来たばかりの

生涯が

身につづれをまとい

尻切草履に身体を託して

手押車に

人の世の残滓を

こぼれる程積んで

素朴な歌を唄いながら

ただ一人過ぎていく

海の山のその彼方の

故郷に向って



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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