あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  中野ヤスオさん


白い紙片れ


白い紙切れが赤黒い地上をはなれた時

砂塵におこった旋風が来てちりとごみとを

ひっくるめて灰色の空中に呑まれた

もう駄目です返事のかわり胸がどきんとした

脚を早めた扉が開いていた

ベッドの周囲には四五人佇っていた

肩がびくっとしたそれきり動かなかった

生と死 紙一重

昨日きた時しっかりした返事をした

早くよくなれ「ん」と答えた

昨日と今日 夢にも思わなかった淋しみ

胸に湧き眼を閉じ手を合した

時がたった 外に出た

雲もない 旋風もなかった

白い紙切れだけが

濁った水溜りにたゝきつけられていた








むだい


その睫毛を閉じよ

碧き夜に

哀しくも濡れ光る睫毛を閉じよ

その疲れたる歩みを捨てよ

その痛ましき投影を離れよ

碧き月照り翳りつ

微風のまゝに

その心を漂わしめよ

音たてゝふと夢ひらく水蓮のごと

その病みたる心を漂わしめよ

さゞ波に揺れ

さゞ波に漂い

しずやかに匂い溢るゝものよ

ひたすらに睫毛を閉じよ

哀しくも濡れ光る睫毛を閉じよ




中野ヤスオさんの略歴
邑久光明園に在籍。中野ヤスオはペンネームと見られ、詳細は不明である。1954年刊の『光の杖』には故人とある。


戦中、戦後の光明園では、生と死が日常的だったから、こんな詩が生まれた。繊細な心が伝わってくる。



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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