あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  信原翠陽さん


押入の中から


襖をあけて

押入れの中を覗くと

盲になった悲しみが

どっとこみ上げ

思わず咽喉から

逢えぬ我が子の名前が出る

三尺の押入れの中の

誰れにも冒されない安らかさに

口笛鳴らし

胸が弾めば

たまゆらの命は

病苦を超えて

幼い頃の明るさを呼ぶ

さぐり覚えの場所にある

僅かな荷物は

冷たくて

追われ来た日の淋しさが

残っているよ

来る所まで来

墜ちるところまで墜ちて

嘆くのは愚だ

怒るのは笑止だ

所詮くるしみの旅なれば

これっぽちになった荷物でも

盲いたことが終止符でも

いいんだ

私は此処から生き抜こう

別れて生きる子供の為に

湖底のような静かな

押入れの中から

私は新しく出発するんだ










外套を着れば


窓を打つこがらしに

さぐりながら着る外套は

頼もしいぬくみを持って

盲いた私を包んでくれる

戦乱の時

炎の中を逃げ廻り

発病した時

冷たい人の白眼視から

私をかばった外套よ

かもめだけが知っている

小さい島で

癒えぬ病を養えば

総てのものは離れていくのに

外套の暖い事はどうだ

記憶の底にある母にも似て

やわらかい感触に

病み痴れた身体が暖まると

何んにも見えない悲しみを

吹きまくる真冬の風が

さらって行くよ

外套の胸をひきしめて

自らがあたたまらねば

何処にも暖かさのない孤独の旅だ

蛍のように

自らが燃えて飛ばなければ

何処にも光のない無限のやみだ

見えぬ眼で掻きさぐる

これからの新たな道に

久遠の光が照すまで

外套よ

島の寒さを防いでおくれ



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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