あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  すみ・まどか さん



朧月


コトーコトー

地の底に消え

地の底から返ってくる音


私を地の底に引ずり込むように

どこまでもついてくる音

松葉杖の音

それは妻の足音だ


音はなにかにつまずいた

ふり向くと妻は黙って笑っている

その笑顔の向うを

泣き出しそうにゆがんだ朧月おぼろづき
 
ぐんぐん遠くなって行った









あゆみ



すみれの花を濡らした

悲しみの涙を

大地は吸ってしまい


苦しみに噛みしめた

松葉のにがさを

奥歯は忘れてしまった


怒りが投げた石を

海は沈めてしまって


今日だけの喜びがある

一枚残った暦を

柱はしっかりと抱いている









うつろ


壁の裏から

ベッドの下から

くら闇が這いよる

だが

どのベッドの人も動かない


鈴蘭灯がすべてのものに影を与えた

薬瓶に活けた水仙の色は宙に浮いた

だが

どのベッドの人も動かない


三月の風が窓を愛撫して過ぎた

一筋二筋  ガラス戸に雨の糸

草木の芽を呼ぶ雨かも知れない

だが

どのベッドの人も動かない



すみ・まどかさんの略歴
1917年5月23日生まれ。1941年4月9日光明園に入所。1948年頃より文筆活動を始め、浜中柑児に師事、鳥海暁風子の号で俳句を多く遺した。「ホトトギス」「雲海」に所属。昭和30年代には自治会活動にも従事した。1975年9月9日死去。


すみ・まどかさんはペンネームも覚えやすいが、
「怒りが投げた石を
 海は沈めてしまって」

「三月の風が窓を愛撫して過ぎた
 一筋二筋 ガラス戸に雨の糸」

等、表現が独創的。 


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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