あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  秋田穂月さん



こころの痛点


注射針の

尖が

ぼくの

痛点をまともに

突き刺す


午前

午后の

いちにち二回の

針先と

ぼくの闘いなのだ


無数の

数限りのない

痛点が

ぼくを

縛り付けながら

他人面して黙っているのだ


はびこったまま

そしらぬ顔をしている

痛点は

ぼくにとって

無用の証である

転びながら

悲しみ

まともによろこびながら

何を



よろけまた歩む

ぼくの裡の

生の歴史なのだ


くる日も

来る日も

隙間のない

こころの痛点だけが

殖えながら

おびえ乍ら

数をふやしているのだ


見つからない

ぼくの倖せと

無数の痛点との

出会を

じっと噛みしめながら

看護婦に

すべてを託す

日々の


進展を持たない

充実を味わいながら

一日が暮れてゆく

こころの

痛点の累積を

背負いながら

走りながら

あせりながら

涙の跡を

追い続けるのだ━━。



秋田穂月(秋田武松)さんの略歴
1916年6月17日三重県に生まれる。子供の頃発病し、小学校途中から自宅療養を続けるが、母の死をきっかけに入所を決意。1940年8月12日邑久光明園に入所。翌41年、南早苗と結婚(48年死去)。同年4月より浜中柑児、本田一杉両氏に俳句の指導を受けるとともに園内文芸団体・卯の花俳句会に入会。昭和二十年代より俳句誌「冬扇」「季節」などに投句。三十年代以降は詩作に専念。1999年10月26日死去。詩集『空白への招待』『生きて逢いたし』。


最初に紹介した「蒼穹への招待」が最もよかった。もう一度紹介します。

これほど美しく

これほど軽やかに

これほどいきいきと

これほどすばらしく

きらめきながら

蒼穹あおぞらへきえてゆく煙を

かつてぼくは見た記憶がない

三十年にあまる療養生活から

やっと解放された妻を荼毘にする

花束よりも華麗な煙なのだ

それはまたぼくへの招待状なのだ

夜の闇にまぎれ

潮の香は

荼毘所をつつむ

限りない帰天を遂げさせた形のままに

春夏秋冬 その日その時の

涙にうつり

おごそかに ひっそりと

荼毘所の煙突は立ちつくしている

人とは何か

何でないのか

ぼくはぼくに向って

終りのない問いかけを重ね

深められてゆく悲しみに

昨日と同じ重さだけ

疲れはてるのだ



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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