あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  秋田穂月さん


額縁のない対話


━━おじいちゃん まだ足痛いの

うん もう治った

━━ほんまに治ったんか

うん ほんまや


━━おじいちゃん

なんや

━━ほんまに治ったんやったら

家に帰ろや


故郷 それぞれの

森はかがやき

風は野にあふれ

そして

母の背のぬくもり


石ころ道はまがりくねり

黄昏のにおいをただよわせ

みずみずしい響をかわらぬ彩りで

奏でては

ぼくをいつも

少年の日におしもどしてくれる


涯のない望郷の影をひきずり

血のつながりの理非のかなたに

重い涙を

涙湖にためながら

今日も

診察への車椅子にのる


━━治ったんやったら

家に帰ろや

車椅子が傾く

車椅子が軋む


ああ

額縁のない対話のように

行き場のない悲傷を

呼吸して

明後日の夢を噛みしめる








片道切符  三瀬谷駅発〇時十五分


夏は沈黙の奢りをやどし

別離を具象して

隙間のないやさしい言葉を告げる


渇くのは

別離だけではない


山々や

川の流れが

ぼくと故郷とにはさまれて

哀しみの声をよせる


肉親のぬくもりと

ひとりの<おみな>の瞳が

同じ重さでひかりながら

愛別離苦の夏


うすくれないの鳳仙花が

駅の外れで

はげしく夏をゆすぶりながら

別離を今日の柩として

咲きみだれていた


倖せを摑む形にうんでくれた

母の願いとはほど遠く

麻痺した両手を 今日も

ぼくは

もてあましている



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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