あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

邑久光明園  鹿島太郎さん






逃げ場もない連続大空襲で

さすがの大都会も

一日にして灰塵に帰してしまった


驟雨の過ぎ去った夜

大阪城の上にきれいな虹がかかった

私と妻子は抱きあって黙って見ていた

何もかも焼けてしまったのだ

しかしもう一つ最も恐ろしいものが

残っていた

ああ 私は家と一緒に

何故焼けてしまわなかったのであろう


「あなたこれからどうするつもり」

妻の悲しげな問いに答える力もなく

黙って妻子と別れてしまった

妻は私の病気を知っていたから

私の心の底を見抜いている筈だ


こうして十年も消息を絶ってしまうと

さまざまな不安や苦悩が襲ってくる

蠅を払いのけるように

もがいているのだ私はいつも










子守歌


浜の砂の上に寝ころんで

黄昏の海をじっと見つめている

海を見つめる瞳は郷里をあこがれているのだ


此処へ来た当時はもだえ狂ったものだが

今はもう郷愁の涙も涸れてしまった


嗚々何時ともなく時の中に溶けこんでしまったのだろうか

もう何を求めようと言うのではない

ただ一つ かすかに覚えている

母の子守歌が聞きたいのだ


こうして浜辺に寝ころんでいるのも

何処からか聞えて来はしないか

心の底から湧き出て来はしないかと

儚ない希望があるからだ


それだけでもいい

こうした私にもかつてはやさしい母の手が

あったのだ

美しい子守歌があったのだ


それだけでいい

それ以上何を求めよう

それ以上何があろう


私は何時迄も砂の上に寝転んでいる

嬰児のように・・・










癩者


暁の島を

白いベールが幾重にも覆っている


一条の光が

暗雲を斜に射し照らす頃は

もうすっかりベールをぬいでいた


親を捨て去り

妻子を捨て去り

兄弟姉妹を捨て去り

この島の周囲には涙の海が浪音をたてている


貴方達には絶対に見られたくない部落

癩者の部落の中心の治療場

そこに通う雑踏を

杖をひきながら行く盲

太き嘆息をはきつつ

操り人形そっくりに歩いて行く姿を

私は彼等と共にささやかな望みが

思われてならない


ああ神様は我等の為に嘆いているだろうか

癩者の眼は空洞のように

永遠の闇がひそんでいる

それでも ときどき

はげしい光りが点滅するのだ


この癩者にも静かな祈りがある

幼子のように神々しく笑うこともある

癩者の園が

神のパラダイスとひとしいと云うことは

何と云うよろこびだ




2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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