あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  塔和子さん



金魚


与えられた金魚鉢の中で

与えられた餌をもらって

生きるための知恵も労働も

運命を切りひらくために必要なものは

すべて放棄した

牙も毒も持たずにいられるこのさびしさ


器の中のなまぬるい水につかってから

あまりにながいので

幸せがなになのか

自由がなになのか

健康がなになのか

もう麻痺してしまってわからない


 ふと

口ばしを鉢にぶつけて

生きていたと

鮮烈に五体をはしるものを知る

 金魚はときおり

 開けられた窓の向こうの空を見ながら

かすかな声が自分を呼ぶのを

きいたような気がして

ひくひくと

身をふるわせる









あなたは盛りの美にまよい

あれか

これかと

もたされた選ぶ自由の重たさと

選ぶことの恐ろしさにたじろぎながら

一本を選ぶ

私を選んでくれたあなたよ

あなたは私にどんな美を見つけて選んだのか

その美が

いつまで保たれると思って見たか

選ぶあなたは最も美しい私を選び

私は美の中に

終りのみにくさを抱き合わせて売りつける

私を抱きかかえているあなたよ

あなたの腕の中で

一瞬

一瞬

おとろえている私を

どのようにして

とどめることができるのか

かがやく花は

しのび寄ってくる暗い眠りを

おしころして

かすかにふるえている







食事


白いものがゆぶゆぶしている袋の先には

管がついていた

「それなにするもの」と私が聞くと

「食事」と看護婦は無表情に答えた

そして

病室をのぞくと

その管を

鼻に突込んでいた

 口から食べることのできない人

 それはぶかっこうだ

 病人が動くと

 胃袋のようなその袋も

 かすかに動いた

 それはなぜかユーモラスだ

白いものがすこしずつへってゆく

命のひきのばされる光のように


冬の残照が

かすかにほてって

この

厳粛で神聖な食事は

静かに

はこばれている









この味のない私の生に

ただひとつ

味付けするものがある

それは欲望だ

欲で体がふくらむとき

私は生き生きする

深い井戸から汲み上げる欲なら

どんな欲でもいい

 食欲 物欲 性欲 

 知識欲 創作欲 名誉欲

欲よ

私はお前をこんなに好きだ

お前がないところには

実がない味がない私がいない

お前でいっぱいになった脳髄で

存在の深奥から

光る言葉をかくとくしたら

これほどの満足はないだろう

私の欲よ

 私をいろどれ

 どんな暗いところにいても

 ただひとつ

 もえる炎はお前

欲で活気のみなぎる頭

欲で華麗な心を身の内にもって

その先に

コップ一杯ほどの

希望を見つめて歩いていられるなら

私は

どこまで歩いて行ってもいい




2030年 農業の旅→ranking




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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在64才、農業歴28年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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