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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  塔和子さん



嘔吐



台所では

はらわたを出された魚が跳るのを笑ったという

食卓では

まだ動くその肉を笑ったという

ナチの収容所では

足を切った人間が

切られた人間を笑ったという

切った足に竹を突き刺し歩かせて

ころんだら笑ったという

ある療養所では

義眼を入れ

かつらをかむり

義足をはいて

やっと人の形にもどる

欠落の悲哀を笑ったという

笑われた悲哀を

世間はまた笑ったという

笑うことに

苦痛も感ぜず

嘔吐ももよおさず

焚火をしながら

ごく

自然に笑ったという








水溜り


目が覚めると

水たまりができていた

その水たまりを

振り返りもしないで

ひょいひょい渡って行く人があった


私は

不器用でとても渡れない

いつも水たまりで足をとられ

ぬかるみは

私をひきずり込もうとして

不気味な音をたてた


それでも

盲いた人は

水たまりのあることにさえ気付かず

全く無頓着に歩いていた


思い思いの

         

心の深さをうつして

不思議で

危険な水たまりがあった









名前


私の名よ

私というかなしい固有名詞よ

私は

私の名によって立証され

どこまで行っても

私は私の名前によって

私であることが通用する


四畳半の部屋の中で

しばしば呼ばれ

しばしば返事をする

親しく小さな名前よ


故郷の村境の小道から

亡命した私の名前

ああしかし今も

私の名は

閉ざされた小さな世界の中で呼吸している

私の影のように

やっかいで愛しい名前よ


私がいると名前も有り

私が立ち去ると名前も消える

はかなくやさしい名前よ


忘れられたり現われたり

私が所有する唯ひとつの私自身

それがなければ私ではない

馬鹿くさく滑稽で

激しい存在の立証


小さな部屋の中で

しばしば呼ばれ

しばしば返事をする

小さく親しい名前よ






 
秋の鳥

青白い炎のような

うすい氷のような


風はハッカ


海はラメの布


空は青い敷物

天使の羽

一輪のひまわり


そして

天地の間を切裂く一羽の鳥

このすてきな秋を

天へもとどけず

地へも落ち得ず

ああ

あれは

どんな過酷な神の

被造物なのだろう



2030年 農業の旅→ranking






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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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