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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  塔和子さん


遠くからの声


母から母へ

  母から母へ

はるかにはるかに流れて来た私が

人の繁みの中へ

ほうり出されている

繁みの中の個として

もうどこへもつながっていないのに

どこか遠い遠いところから声がする

私は今日

次の世代へ渡すべくあらされている母性


あなたよ

あなたの父性も

その父のその父の

はるかなはるかな始祖から

あなたへ流れて来た血を受けとめてあるのか

私たちらい夫婦は子を産まず

遠くからの声を

うさぎのように耳を立てて

聞いているだけ

流れをせきとめて立つことの

重たさが

透明にしみる一瞬を










あそこは暗かった

あそこで食べたのは

木の根の汁だけ

あそこは長かった

もう明るみに出る日はないかと思った

なんと明るいのだここは

思い切り声を出して暮らせる日が来ると

あの長い年月

考えられもしなかった

大勢の仲間と

好きなだけ声が出せる

声が出せることがこんなにすばらしいことだとは

知らなかった

あそこでは

言いたいことがあっても

じいっとがまんしていた

声を出しても

回りからふさがれたものだ

ああ

太陽をいっぱい受けて

愛し合って

産んで

祈って

ここは緑と光の楽園

あの暗かった季節に

こんなすばらしい日が訪れるなんて

いかなる摂理によるものだろう

三日の命だってかまやしない

いまは

生きている感動にふるえる目を

かっと見ひらいていよう










風紋


いつも

幸運が

顔を少し近づけた頃に

風が消したので

風紋があるだけ

風紋たちはささやいた

  小学校しかゆけなかったね

  自分の作品に

  親からもらった名前も記せないね

  病気はなおっていても

  病名が悪いから

  なおったと言って祝ってもらえないね

風紋のささやきに焦られて

私は立つ


偏見と差別の風

ひっそりと沈黙した砂たち

生産のない砂漠

風紋ができる条件が

いつの場合も

そろっていて








五月


花々が野山を飾り

海がやわらかい色に変貌し

風が羽毛のように頬をさすってゆく

この明るい世界は

這い出すとかげ 飛び交う蝶 肥えた猫

農耕にいそしむ男

針を運ぶ妊婦

洗濯物を未来に向って干す女

人は

彼方からくるものに

眉間を輝かせ

生きている喜びにはち切れそうに見えるが

  花は極限を

  とかげは生きるために他の生きものをねらい

  そのとかげは猫にねらわれ

  妊婦は難産の

  男は疲労の果てのうすい毒を

みんないちように

あらがいがたい

自らの負う黒いかげを宿していて

見つめていると

明るさの底がじんわりと透けてくる




2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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