FC2ブログ

あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  松崎水星さん(10)



回想



病室からレントゲン室までの距離は

五十米にも足りなかったけれど

土の上を歩くと云うことは

ベッドに寝たっきりの私には

こよなく嬉しいことだった


足萎えの私は看護婦に支えられて庭に出た

昼近い初冬の柔かい陽差しを浴びて

すずらんの花のように甘く漂う

看護婦の体臭に 私は

忘れていた君の面影を思い出した


二十数年前の白根神社の祭の夜

赤い名古屋帯に縞の単衣の君は

悪い片足を労わるように

私と腕を組んで佇っていたのだった


波が寄せて返すように

みこしは近づき 遠去って行った

私達も旅館に帰ったのだったが━━


半年の灸点治療は二人の距離を遠くした

病気の快くなった君は故郷へ

病気の悪くなった私は国立療養所へ

互に互の面影を抱いて

別れなければならない
えにしだった



松崎水星さんの略歴
1904年1月27日青森県に生まれる。若い頃は大工をしていたが発病、1941年草津の聖バルナバ医院に入院、四月、同院の閉鎖に伴い栗生楽泉園に移る(記録は1941年4月24日)。秩父明水のすすめにより短歌を始め、「潮汐」「アララギ」に入会。歌集に『樅の木』(1963 高千穂書院)、合同歌集『盲導鈴』(1957 新星書房)、『山霧』(1966 新星書房)など。1970年5月31日死去。



2030年 農業の旅→ranking






このページのトップへ

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

最新記事

最新コメント

カテゴリ

カウンター

QRコード

QR

検索フォーム

月別アーカイブ