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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

長島愛生園  平美沙子さん



思い出


 ある日、私は妹と弟と三人で、裏の川へ蛍を取りに行った。川のふちには美しい蛍が暗やみの中でたくさん光っていた。弟が、「蛍取りの競争をしよう」といいだしたので、私はすぐ賛成した。弟は一人で、私と妹は一緒になって、あまり遠くへは行かないことにして取りはじめた。暗いのではじめのうちはこわかった。友達から、夜になるとヘビの目が光る、ときかされていたからである。でも一生懸命に取っているうちにそんなこともすっかり忘れていた。もうおそいから帰ろうと思って、弟の名を呼んだが返事がない。又呼んでみたがやっぱり返事がない。私はもう心配でなりません。蛍どころではないと思って、夢中になって呼んでも返事がない。妹は、ねむたい、というし私は途方にくれてしまった。心配しながら家へ帰って来ると、もうとっくに帰っていたので、安心するよりも腹が立って仕方がなかった。そんなわけを知って、弟はお母さんに叱られていた。しかし、弟をよく見ると、川に落ちこんだらしく、ズボンがびっしょりぬれていた。早く寝なさい、と言われて私は寝巻に着がえた。弟も足を洗ったり、着物を着がえたりしていた。妹はよほど眠むかったらしく、帰るが早いかもう寝ていた。しばらくすると弟が、姉さん何匹取ったの、と聞いたので、私はすぐ数えはじめた。弟も数えはじめたが、私のよりは多かった。もう弟はすっかり得意になっている。二人も早く寝なさい、とお母さんに言われたので、私は電気を消して寝ることにした。床についてから枕元を見ると、蛍は美しく光っていた。
 故郷での、楽しかった思い出の一つである。


愛生中一年 平美沙子さん。(「山櫻」1950年11月1日)

平美沙子さんの略歴
1934年12月28日愛知県に生まれる。1948年長島愛生園に集団収容された。


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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