抜け殻
私のてのひらに
こんなに軽く乗って
お前のいのちはどこへ行ったのであろう
そっと
知らないと云った
真白いお前の
こんなに軽く
私の
お前のいのちはどこへ行ったのであろう
かなしい ものの
今日吹く野づらの風に
私が そっと山に尋ねてみても
お前のいのちはなかったのか
それはかなしい一つの記憶でもあるが
あなたの
まみえた時のように
この
たった一つ見られる
美しい風船かずらが
わたしのあしもとに揺れていた
かそかな日の想いのなかに
かそかに淡い光を湛えながら
あの日のあなたの面影にどっか結びついている
秋風に乱してはならないこの荒れた花園の朝を
ただひとつかそかにも風船かずらが揺れている
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