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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

山森亮「ベーシック・インカム入門」を読んで

 19日に次のようなコメントを頂きました。
ベーシックインカム構想の問題点の一つは、全国一律の金額でいいのかという点です。大都市だと80万円もらっても家賃で消えてしまい、生活できません。必ず「不公平だ」という議論がおき、「物価の安い地方は金額を減らせ」というようなことになりかねません。なかなか難しいですね』

 
 誰かの紹介があるなら、山村の1軒家の借家料金は1万円ほどが世間相場と思います。田んぼは無料と思います。
 下水道が来ていなければ、ライフライン料金もそんなにかからないと思います。

 1~3人の生活で、何とか80万ほどでギリギリの生活はまわっていくと思います。

 つまり、80万は都会からの逃げ場としての「山村暮らし」で、最低限生きていけるのではなかろうかと思う金額です。
 その場所で生きていけなければ、80万を元手に、生き方や生きる場所を代えることではないでしょうか。



バートランド・ラッセル(20世紀を代表する英国の哲学者)


 ラッセルは、アナーキズム(無政府主義)や社会主義について考察し、ベーシック・インカム+有益な仕事に従事した人々への分配(給与)という仕組みが、「純粋な正統派社会主義」よりも「遥かに成功の機会が多い」ものとして提起されている。(P142)

 ここで展開された4時間労働の部分は、1932年の著作「怠惰への賛歌」で再度詳論されることになる。こちらでは、資本家の唱える勤労倫理への批判が正面から語られている。(P142)

 仕事はある程度は「私たちの生存に必要」であるが、「決して人生の目的の中には入らない」。にもかかわらず、仕事が人生の目的のように私たちが感じているとすれば、それは私たちが欺かれているからである。(P142) 


パレイス

 ベーシック・インカムが保障されているもとでは、生存のために労働を強いられるということはないはずであるから、より多く働く労働者は、自分の意志でそうしているのであり、金銭に相対的に強い価値を置いていると考えることができよう。他方、より少なく働く者は、時間に相対的に強い価値を置いていると考えることができよう。
 後者を「怠け者(レージー)」と呼ぶことがもし許されるのであれば、前者を「クレージー」と呼ぶことが許されるだろうか。
 ベーシック・インカム制度のもとでは、レージーな生き方も、クレージーな生き方も、あるいはそれほど極端ではない「どっちつかず」の生き方も自由に選択することができる。(P147)

 
 炭鉱労働者、石切工、煙突掃除人、ごみ運搬人などの危険ないし汚れる仕事は、ベーシック・インカムによって彼らが飢餓から自由になれば、現状の労働条件ではあえてそれらの仕事をしないだろう。しかし危険や汚れることを補償するだけの高い賃金を払えば、働き続ける人はいるだろうと言う。こうした高報酬こそ、例えば私たちを火事の危険から守ってくれる煙突掃除人に対して社会が正しく尊厳を払うあり方であり、そうした人々が困窮の淵にいるベーシック・インカムなき社会はおかしいと考える。(P165)


 ベーシック・インカムが労働を阻害するのではなく、かえって労働を促進する。また糊口をしのぐための労働と、楽しみのための労働を対比し、後者の生産性の高さを主張している。(P167)


 年金は若い世代から年老いた世代への強制的な所得移転であり、貧困層ほど若くして働き始め、富裕層ほど長生きをするから、これは「より貧困な人々から豊かな人々への所得の移転」を行っていると述べる。
 社会保障が「金持ちの負担で貧困者を助ける」というのは、年金に関していえば必ずしも当てはまらないというのである。(P199)


 興味深いのは保証所得が環境保護に資するという論文の他、所得が保障されることで、人々が創造的な活動に従事できるという論文が含まれており、貧困の解消や労働意欲といった議論とは異なった新しい視点が提示されていることである。(P209)


 市井のエコノミストでイギリスを中心に活動しているジェイムズ・ロバートソンも、ベーシックインカムの導入が不可避であるという認識はガルブレイスと同じであるが、ガルブレイスにない新たな視点として、そもそも雇用という形態は仕事のあり方として限界を抱えているとして、別の仕事観を提示していることである。
(第一)雇用は家庭と仕事を乖離させ、また仕事をするうえでの当人の独立性も損なってきた(依存としての雇用)。
(第二)雇用は男性的で非人格的なものとして組織されてきた。
(第三)雇用中心のシステムのもとで雇用されない者(失業者、主婦、子ども)は劣等感をもたされてきた(雇用の排他的性質)
(第四)雇用中心のシステムの下での分業と専門化の進展によって、「ローカルな仕事が、ますますどこか他所でなされる決定にコントロールされる」ようになった。(P209)
 
 ロバートソンが雇用に代わるものとして提示するのが「自身の仕事」という働き方である。つまり、労働=雇用という価値観のもとでの、労働者↔非労働者という分断を解消し、市場での消費の生活に占める割合を減らすこと(自給)で、生活に足る所得としてのベーシックインカムの給付額も低いもので十分となる可能性が生じる。(P212)

 
 ベーシックインカムはすべての人に、個人単位で、稼動能力調査や資力調査を行わず無条件で給付される。(P243)


 「自由からの逃走」で著名な心理学者で、哲学者としても知られるエーリッヒ・フロムは、人類史において人間の自由を制約してきたのは、支配者による生殺与奪の権力と、「自分に課せられた労働ならびに社会的な生存の条件に服したがらないものにたいする餓死の恐怖」であったとしし、ベーシックインカムは後者を克服することによって自由を拡大するというのである。
 現行の世の中の仕組みは、飢餓への恐怖を煽って(一部のお金持ちを除き)、「強制労働」に従事させるシステムである。こうした状況下では、人間は仕事から逃れようとしがちである。しかし、一度仕事への強制や恐怖がなくなれば、「何もしないことを望むのは少数の病人だけになるだろう」という。働くことよりも怠惰を好む精神は、強制労働社会が生み出した「常態の病理」だとされる。(P250)


 私たちがベーシックインカムについて語る時、所得を失う恐怖に誰もさらされるべきではないということだけを主張しているのではない。現在失業者あるいは非生産的とラベルを貼られている多くの人々によって担われている不払い労働への報酬としてのベーシック・インカムをも要求しているのである。私たちは慈悲が欲しいのではない。生産の非常に大きな割合は国家や賃金労働の領域内では遂行されず、しかもそれらは社会的に生産的で価値があり重要であるという事実への承認が欲しいのである。(P265)
(注)非生産的とは炊事、家事労働、自給自足農業者の里山保全、風景創出等が考えられる。


 
 自分の頭の中で整理がつかず、言葉が出せなかったものが、9月12日の新聞記事を読んで「あ、これだったんだ」と気付いた。

 ベーシック・インカムという考え方には200年余りの歴史があるという。

 年金を払い続けていれば65才になったらもらえる。それが、年金も払わずに、現役世代(正しくは0才から)でも基本所得として一定金額をもらうことができる。しかもこれが、所得控除や補助金を全廃することによって比較的簡単に実現可能な政策だったとは。

 しかも企業にとっても、ベーシック・インカムがあればリストラしやすく、より低賃金で雇うこともできて有利になる場合もあるという。

 社会主義や共産主義より、ベーシック・インカム資本主義の方がかなり優れたシステムのように感じる。スターリン(恐怖政治)やベルリンの壁(西側への逃亡)が社会主義や共産主義思想からいつも自分を遠ざけてきた。

 この本の著者である山森亮さんは、1990年代の初頭にベーシックインカムについて初めて耳にした時、激しい嫌悪感をおぼえた。何か的外れな話に聞こえた。その時に覚えた違和感は以下のようなものである・・・と、本の最初の方で書かれていたが、ボクは全く逆に、激しい一体感を感じた。

 その後で山森さんは、無条件の所得補償というベーシック・インカムの考え方は、共感であれ、反感であれ、個人の生き方や感覚に根ざした反応に直面することが多い考え方であるようだ、と書かれている。

 自分は元来、ベーシックインカムを求む「稼げない人間」だったのだ。そして20年の農業経験は、ベーシックインカムの思想(制度)にますます近づけたと考えれる。


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コメント

ラッセルとロバートソン ありがとうございま
した。性善説ですね。でも 新鮮な説ですね。
なんか 生きてて良いよって言われてる
みたいで 嬉しいですね。本当の意欲とは
何か考えさせられますね。

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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在65才、農業歴29年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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