5年ほど前、岡山市から備前市へ抜ける海沿いのブルーラインが無料化されてから、大型トラック等の国道2号線を通る量がぐんと減ったと、2号線沿いにある行きつけの理髪店の店主が話していたが、昨日も農業仲間から同じ話を聞かされた。
つまり、国道2号線の夜間の通行量が減ったことも、イノシシが国道2号線を渡って南下した原因の一つらしい。
当地でイノシシが出るのだから、すでに岡山県下の90%近い地域がイノシシの被害にあっているだろう。まだイノシシが進出していないのは、海沿いの一部の地域になりつつある。
こんなにイノシシが増えたら、農林業はもうお手上げである。国全体で害獣防御を考える国民運動のようなものが必要と思う。そうでなければ、イノシシ被害に困るのは農林業従事者だけの問題になる。効果的な対策がとられない間に密度は増え、すでに限界を超えている。
ボクのような理工系の能力の全くない人間は農業ができなくなる。
電柵を張っても、それでも突破されるようなら、その時、自分の出荷農業は終わる。
電柵をせばめて自給用だけにし、農業以外の他の収入の道を模索せざるをえない。
ふりかえってみれば、自分の殻にとらわれた、劣った農業を展開してきた。
これぞ農業の理想形と思って、他の農業形態を顧みず、閉じこもってしまった。
経済的に追い込まれて、今頃になって、これではいけないと思い直したが、出荷農業ができそうなのは後10年ほどだろう。
風
人は誰も心の準備ができないままに命の終わりを迎える
目に焼きついたはずの風景も
もっと見続けたいと願う
この紅葉をもう一度見たいと思う
40年前、この地を開墾して入ってきたのだ
あなたのやってきたことは、誰も真似ができない
誰よりもずば抜けた農業人生だったと思う
もっともっと教えてもらいたかった
誰もがその実力を認めただろう
もうやり残したことがないように見えるが
あなたにとってはまだまだこれからだったのかも知れない
しかし誰もがある日突然に、農業からのリタイアを迫られる
自分の場合はどうだろう
農業のスタートが37才の直前と遅かったから
20年ではまだまだ一通りやった気がしない
これからの10年は農業の理想形を追うのではなく
稼げる農業をめざしたい
その過程で、病気、害獣、経済的理由等でリタイアを迫られたら
受容できなくても受容せざるをえないだろう
受容せざるをえないのはあなただけではない
あなたの家族やあなたの友人たちみんななのだ
受容の重さに、差はあるだろうか
あなたのいない世界を考えたらとても寂しい
しかし同じ時間の中で同じレベルで受容できたら
一人は従容として風になることを受け入れ
一人は風になる時にその時の光景を思い起こす