ここはお茶で有名な美作市の海田高原。紅葉にはまだ少し早い。この近道を通り、今日は美作市のUさんの田んぼを見せてもらいに行った。我が家から1時間半ほどかかる。
15年ほど前に山陽新聞でUさんのことを知り、何回か訪問させてもらったことがある。今日は知人を案内して数年ぶりの訪問だった。
今は主に地域の直売所へ出荷されている。直売所ではタマネギ苗、キャベツ苗、イチゴ苗なども売り、米やお餅も売られているが、主体は野菜である。
作付量は野菜が5反(50アール)ほどで年間を通してコンスタントに出荷されている。ボクより2反も多く、その上、米も4反ほど作られている。
化学肥料は一切使わない有機栽培、ただ特定の野菜には農薬を少し使われているようだった。
Uさんからの帰り道、赤磐市のKさん方にも立ち寄らせてもらった。画像はKさんのメイン作物であるニンジンとホウレンソウ。完全無農薬で、肥料は画像のメタン菌液肥。自然食品店と生協に出荷されている。作付量はUさんと同じく5反ほど。冬の農閑期にはネパールへ農業指導にもう20年行かれている。
どちらの方も来年「古希」を迎えられる。年令は同じ。
どちらの方もかなりの有名人である。
2人の接点は今までなかったのだろうか。お互いご存じないようだったが、距離は近く、車で30分ほどである。
帰り道の車の中で、自分は何が足らなかったのだろうと考えていたら、
浮かんだのが「真似る力」だった。
2人にはいろいろ教えてもらいながら、技術的なことはほとんど真似ることができなかった。
農業ができる人は、この「真似る力」がある人だと思う。
ボクは何回教えてもらっても、真似ることができない。
紐結びが全くできないように。
メタンガス発生装置(メタン菌液肥)の仕組みも何回聞いても理解できなかった。
それぞれ学びに来られている人は多いので、彼らから見れば、誰がどのくらいやってのけれるか(伸びるか)、一目瞭然にわかるだろう。
相当の遠方からでも指導を受けに来られているようである。
やはり農業は理系の人の職業だと思う。
真似ることは簡単だと思うかも知れないが、農業において、これほど難しいことはないと思う。
そんなに簡単に真似れるのなら、皆が皆、農業で食える。
真似れないから、大多数の人が農業で食べていけないのである。
できる人から見れば、こんなに丁寧に教えているのに、なぜできないのだろうと思うかもしれない。
しかし、真似ができない人から見れば、真似ができないのである。
確かに自分は、Kさんのメタン菌液肥は真似ているが、メタンガス発生装置は作れないし、ニンジンやホウレンソウは未だに苦手作物の筆頭である。
真似れる人が農業の世界で生き残っていく。
真似れる人はちょっと教えてもらったり、現場をみせてもらえば、その後は自分でできるようである。
慣行農法でも有機栽培でも、真似ることは本当に難しい。
例えば、就農準備期間中に、果樹園や施設園芸等、いろんな農業形態を見せてもらって、これなら自分でもできるだろうと思えた農業形態だけしかできないものである。
自分の場合のそれは、
(1)規模は30~40アールほど
(2)果樹は無理
(3)ハウスも立てれそうにない
(4)単一作物を大規模に作ることも自分には難しい
できると思ったのは、多種類をごちゃごちゃ作る方法で、できるだけ有機栽培で、単品ではなくセット野菜で、ニワトリを飼い、顧客に直接売るという方法だけだった。そういう農家の本を読んで「これしかない(これならできる)」と思った。