左のネットで囲んでいるのが7羽の鳥小屋。隣接した右がオスヤギの小屋。メスヤギは物置の4分の1を小屋にしている。
農業者であり続けるには、トータルの力が必要と思う。
(1)野菜や果樹を作る力
(2)野菜や果樹を売る力
(3)同業者とつきあっていく力
ボクは(3)が弱い。これができないと損をする。販路の紹介や同業者とのネットワークも広がらないし、情報も入ってこない。
(1)に関しては、農業者はみんな忙しいので、手取り足取り教えてもらえるわけではない。できる人(やってのけれる人)は、ちょっと見せてもらったり、ちょっと教えてもらえば、その後は何とか自分の力で進めることができる人なんだと思う。
自分の場合、例えば農作業でよく使う「紐結び」をその場で3~4回連続して教えてもらっても、全然結べない。
身近なことでは、
(1)メタン菌液肥を担ぐタゴの紐
(2)稲ワラを軽四に高く積んだ時のロープの結び方
紐結びは教えてもらっても覚えれないのであきらめた。
(3)の同業者とつきあっていく力は、自分の場合は地元だから、人付き合いが悪くてもやっていけるが、都会からの移住者だと(3)ができるかできないかで、その後の展開が違ってくるように思う。
移住地探しも簡単ではない。田舎へ移住するには何らかの「人づて」がないと地域に入るのは難しい。田んぼは地域の人の仲立ちがあれば、低料金で貸してもらえることも多いが、借家となると、間にたってくれる人にかなり骨折りをしてもらわないと前に進まない。
有機農業系では行政や農協の支援は期待できない。ほとんど食べていけない農業形態を支援しても意味がないからである。
有機農業系で入るにしても、
(1)農業を主体にするのか
(2)アルバイトを主体にするのか
(3)半農半Xを主体にするのか
の3つのパターンがあると思う。いずれにしても年収100万円の世界だろう。田舎に来てもあくせく働き続けるのなら、田舎移住の意味がない。だから年間100万ほどで生活がまわっていかないと続かなくなる。
友人の一人は単身であるが年30万あれば楽にやっていけると言う。内訳は大きな一軒家の家賃が月5千円、電気代、ガス代、電話代(固定電話で携帯は持っていない)のライフラインが月に1万円以内。水道は簡易水道なので無料。家賃とライフラインで年間に18万円。残りは軽四の維持費と食費等。
何年かかけて「田舎暮らし術」を身につけていくしかない。稼ぐ能力はなくても、少ない金額で生きていける能力があれば田舎暮らしはまわっていく。
元々の地元だから、他所から入って来られる人の苦労を知らない。多くの移住者は、考えて、計画して、熟慮して、年数をかけて田舎移住を実現したのではなく、流れの中でたまたまそこに住むようになった、あるいは、結果的に長く住んでいるから当地が合っているのだろうといった「成り行きの移住」が多いように思う。
移住して何年か経過してみないことには、水や空気や風景が合うかどうかわからないし、2箇所同時に住むことはできないので比較もできない。
もちろん、借地借家は最低限の常識だろう。田舎では空き家や耕作放棄地が加速的に増えているから購入する必要はないし、購入すると土地や家屋に終生束縛される。