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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

多摩全生園  山岡 響さん


雪椿の里


春の夜を睦むねずみか天井をさばしりてゆく一匹ならず




三組の夫婦共に暮せば声あげて争ふ日あり妻は妻どち




夜の床に安らぐ時もまだ慣れぬ雑居生活の疲れせつなし





虫の声庭辺にしづみ雨ふれり妻は離別を乞ひつつ強し





灯の下に日用のもの整理する妻の引出しは甘く匂へり





裏切りし汝の事を思ひつつ袋にしまふ一人分の餅





万葉に盲ひの歌のなきことを眼よき日は気付かず過ぎし





盲ひなば海の魚さへおのづからその保護色を失ふと言ふ




点字の短歌が一句一首と読めて来ぬ読む感動よいくとせ振りか





触覚に秋の日を白く感じつつ熟れし無花果を掌にせり





面会の幼子の付けてゐる鈴が君のベッドを離れずに鳴る





十三年逢はぬ妹妻となり母となり吾より考え深からむ





指読する点字書の上に降る砂の微粒するどきとがりをもてり





わが歌の口述に来てはずむなり豚飼ふ君の作業の話





硬貨持てば金気の匂ひ花持てば花粉の匂ふ盲ひの吾が手





三十年で消滅をする癩者には銭を使わぬと国は言ふとぞ





二十年たてば千人に減る数に生きて残るは誰と誰ならむ





眠る前唇ふれてたしかむる右手左手に傷なし





祈る時も祈らぬ時も孤独にて祈りは孤独の中に生るる





盲導柵に添ひて曲りし日のおもて木犀の匂ひ忽ちに濃し





盲導音鳴りつぐ下に曼珠沙華立ち群がりて匂ひなく咲く





血管痛の痛みも知りぬいく百たびプロミン注射差しし現身





二十年歌の浄書をしてくれし君の右手もしびるると言ふ




人形の瞳にも似て写れるか光りなき目の二つの義眼





親と子は此の世かぎりの縁とぞ老いて言葉の嘆きに触るる




芽吹く日を待てる木立の静かなりわが聴覚に日足延びつつ





うべなひぬ吾の手のゆく左耳音失へる耳朶軟らかし





みづからの唾液にむせぶ喉持てば顔かたむけて夜夜眠るなり




狂ひたる置時計のねぢ巻き居りぬ自らの刻きざみつぐべし





戸の外に知覚の残る頬をさらし曇りよりさす冬日を探る





もろかりし爪薄く延びつや帯びぬ菌陰性十年かすかな変化





口述の賀状書きくるる奉仕者と石焼いもを分ち頬張る



山岡 響さんの過去記事



2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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