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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  笠居誠一さん


義肢


天涯の孤独が寄りて癩園に結ぶちぎりを人赦しませ





断種してちぎりし友も年老いて子が欲しと言ふ心諾ふ





かぎりなく視野ひらけくる岬に来て病の癒ゆる錯覚に佇つ





遺骨すら拒否せる親が若干の遺金は受けて口をつぐめる





胸に手をくみて眠れりこのままの姿勢に死ねば倖せと思ふ





健康の良きが有利な位置を得て不自由者の意見握りつぶさる





キリストの奇蹟信じる吾ゆゑに彼等に愚弄されて生き行く





ぱぴぷぺぽ言えなくなりし唇を映す鏡に顔がひづめる





トロを押す女土工の野生美に年甲斐もなく吾が心うごく





法網にがんじがらみにしばられて患者は生ける屍となる





流れ来し死者をかこみて各各に批判の声が屍をうつ





骸には菰をかぶせて検死待つ渚に冬の波が光れり





義肢の金具かなしき音に鳴るをはき山の畑へ肥桶かつぐ





天水を飲料にせる我が島に今日も朝より死の雨がふる




檻に飼ふ猿怒らせて喜べる彼らも共通の悲しみを持つ





床ずれのきずのガーゼを取替へる時いさらひの糞をぬぐへり





病室の屋根すれすれに人魂の飛ぶといふ夜に冬の雨ふる





寒波くる浜辺の道を火葬場に鉦鳴らしつつ行く僧も癩





向き直り吾を見て居し野良犬が道標の石に尿かけゆく



笠居誠一(笠居誠)さんの略歴
明治27年香川県生まれ。大正9年大島療養所入所。昭和11年「水甕」入社。昭和39年「水甕」同人。昭和42年没。享年73。第一歌集『松癩』。『藻の花』(昭和10年)『白砂集』(昭和15年)『稜線』(昭和27年)『澪』(昭和29年)『陸の中の島』(1956年)第二歌集『義肢』(昭和40年)『三つの門』(昭和45年)『ハンセン療養所歌人全集』(昭和63年)


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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