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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  東條康江さん


天の国籍


失明のどん底に沈みいるわれに点字習うを勧めくるる盲友




ことこつと点字うつ音特殊にひびきて秋の夜の深みゆく





木枯の夜の点筆握りしめ父とも思う人に文書く





磯の香の沁みたる岩に腰を掛け友が貝掘る音を聞きいつ





雨風の激しき日なり治療棟へ行く道遠く遠く思うも




身障度強き身なれど生かされし幸に感謝し献体なせり




十五歳のおさげ髪にて入所せしわれ病み抜きて還暦迎う





初生りのなすび二つをわれの手に夫はのせくれぬ紫匂う





看護婦もわれも人なり過ちを許し許され今日暮れにけり





失明を受け入れがたく抗いて白杖持つを拒みに拒む





失明というトンネルの長かりき三十余年の歳月流る





もの心つきたるわれに母のなく祖母の慈しみ育てられけり





父を捨て幼きわれを置き去りし母には母の悲しみあらん





生かされて生きる命の確かなり沈む夕日も朝日とならん





らい予防法廃止を祝う集いもち世になき友らに黙祷捧ぐ




父の日に亡き父想う十二歳のわれを残して逝きましし父





生臭きまでに緑の香にたてり嗅覚われに戻りきたれば




入所記念日
入所して四十七年過ぎにけり涙涸れたる5月31日




許しつつ許されにつつ歩み来し四十五年の二人の旅路




追憶(父の死)
もの心つきたるわれを背負いくれし父はハンセン病に侵されていつ




病院へ行けと巡査はサーベルを鳴らして父に強く言いたり




わが膝に父の骨箱しかと抱き阿讃山脈を夜汽車にて越ゆ





夫も病み我も病みたる八月は風鈴の音も聞かず過ぎたり




「風の舞」を抜けて流れる雲にのり懐かしき故郷へ帰りゆきませ




身支度を終え正座なしバイブルを夫に読みもらいひと日始まる




いづこより吹きくる風か風の息もらいてわれは生かさるるなり



東條康江さんの略歴
昭和8年2月7日徳島市生まれ。昭和20年4月徳島市立高等女学校に入学するも、12月発病により退学。昭和23年5月31日大島青松園入園。昭和26年3月24日、武智高と結婚。昭和27年11月25日キリスト教洗礼。昭和35年失明し、大島盲人会に入会。会の機関誌「灯台」に短歌や文章を発表。平成7年より園の機関紙「青松」に短歌を発表継続し、作歌に励む。歌文集『天の国籍』(平成10年)


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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