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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  松崎水星さん


樅の木


厚生省に友等座りこみし朝より食断ちて我は三日を経たり




雨の中園長は薬もて巡回すああ患者ストすでに十日間




子等のため日々働きてあはれ君は今また残る片脚を断たる




萎えし手にまさかりの柄をくくりつけて友は薪割る汗流しつつ





本館の焼跡片附けて帰り来し友は癩文献の焼けしを惜む





膿盤に血の垂るる音聞きながら吾が足の骨削られてをり





高原の冬ながければ夏の間に支給さるる炭は貯へ置くべし





紅のばら匂ふ鉢ひきよせて吾は聞きをり点字歌集朗読




目あき二人盲ひ五人がひっそりと吾が枕辺に歌つくりをり





次次にみまかりし友の形見着て吾は寂しく生き残り居り




居住権を護らむために常会に背負われて来ぬ吹雪の中を





久々に廻診に来し園長がまだ両足はあるかと聞きぬ





づけづけと看護婦に小言言わるるとき平たくなりて吾は臥しをり





看護婦の声あらき日は疵臭き足をば吾はそっと前に出す





ネブタ祭の録音ききて故郷に吾が踊る夢再びみたり





臥す吾に起ちて歩めと山中神父はパウロの書翰読み終へて云ふ





病む吾に聞かせむと友は鶯をさげて来にけり元日の朝





躄吾れ洗面器にパンツ洗ひをりかかる仕業は見られたくなし





躄吾れ地車に乗りて曳かれゆく風荒ければ頬かぶりして





真日照らふ山の上にをればおのづから盲ひの吾の心開くる





萩の花盛りと聞けば山原の野外祈祷会に吾はゆきたし




横たはり盲眼つむれば真昼野に星屑の如きこほろぎの声





常臥の吾が畳床今年また換へねば堆肥の如く匂ひぬ




病む身ながら吾が五十三の誕生日に濁酒沸かして友と飲みたり





暖かき縁に這い寄れば犬の啼く真似して友が吾にたはむる





大工われ健けき日に造りたる故郷の母屋思へば恋し



松崎水星さんの略歴
明治37年1月27日青森県の農家に生まれる。若い頃は大工をしていたが18歳の時診断を受け、21歳で湯之沢に来て湯治と点灸治療を受け4年後には軽快、その後3年間は大工の棟梁の元で働く。再発し昭和16年バルナバホームに入り受洗。昭和16年4月24日栗生楽泉園に移る。秩父明水のすすめで40歳から作歌。昭和23年「潮汐」、25年「アララギ」入会。昭和45年5月31日没。『陸の中の島』(1956年)『盲導鈴』(昭和32年)『樅の木』(昭和38年)『三つの門』(昭和45年)『ハンセン療養所歌人全集』(昭和63年)



2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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