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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

大島青松園  赤沢正美さん



フリージヤが匂ふとマスクはづしたる看護婦の鼻丸く幼し





我よりの脱出は死のほかなきか何処までも昼の海たひらにて




誰も一度考えて身をこはばらす縊死ありし日のライ園の顔




濃き闇の向ふになにか在る思ひ心に持ちて歩みつづける




かくれんぼの鬼になりたる子の指に差さるる不安いまも意識す





惜みなく朝の光の射す部屋に座り直してみても病みをり





曼珠沙華薙倒しつつ畦道を行きし不遜を密かに持てり




病む膝を抱へて妻は眠りをり胎児標本の如くせつなく





冬の冷えわからぬ麻痺の足ながら火に温めゐて火傷せり





新しき手袋の小指絶ちきりてライ病む我の手に合せたり




季節風吹きすさぶ夜の海の怒り奈落まで岩を噛まねばならぬ





冬の月撩乱と海にこほるとき鼻梁なき顔のおもてつめたし




ライを病み母の年まで生きし身を冬の砂丘に置きて呟く





癒えぬ眼とひそかに思ひはじめたるときより我のなだれはつづく





人に言ふ嘆きにあらず選びたるものにもあらず盲ひゆくなり





夢の中の我の眼はまだ見えて覚むれば深き断絶がある





光覚はまだ残りゐて幽かなる救ひの如く夕陽が眩し





残照に祈りの如く静かなる晩夏の海とライ園の島




夕暮の桟橋に帰りきし船を繁ぎて島の夜になりたり




白杖に探りて日暮の道をゆく祈りのごときひとりの歩み





苦しみを舐めつくしたる盲友の迷はぬ杖の後に従きゆく





生きてあることの重みに松は松の音立てながら夜の風の中





地の飢えは癒されゆくか風落ちて眠りの如く降る雨のあり




赤沢正美さんの略歴
昭和8年香川県生まれ。昭和14年大島青松園に入園。昭和16年「龍」に入会、一時中断の後、昭和25年「創作」により長谷川銀作に師事。昭和46年10月失明。昭和47年8月「長流」創立に参加。昭和53年1月52年度「長流」年度賞受賞。妻は詩人の塔和子。『稜線』(昭和27年)『澪』(昭和29年)『陸の中の島』(1956年)『三つの門』(昭和45年)『ハンセン療養所歌人全集』(昭和63年)『投影』(昭和49年)『草に立つ風』(昭和62年)。


2030年 農業の旅→ranking



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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在66才、農業歴30年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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