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あめんぼ通信(農家の夕飯)

春夏秋冬の野菜やハーブの生育状況や出荷方法、そして、農業をしながら感じたことなどを書いていきたいと思います。

栗生楽泉園  中島栄一さん



ゴム靴に



おれは変形した足に

ゴム靴を履かせて

ずるこずるこ歩く

悲しそうに靴は泣く


らいの傷足に繃帯して

びっこを引いて

松葉杖にすがって

乞食のように


だがおれは

このゴム靴でないと

一歩も歩けないのだ

なお弱視のおれは

舌先でゴム靴を

舐めてさぐって履く


こんな不潔な動作は

誰にも見せたくない

社会の人はなんと

思うだろう

いやこんな愚痴は

やめよう


お前に願いがある

びっくりするなよ

おれはお前と

近いうちに郷里へ

里帰りする

ゆるしが出たよ


その時はいっしょにたのむ

お前を磨いてやる

郷里の土は温かいか

冷たいかよく踏みつけてくれ

三十年の古里の土を








印鑑


印鑑は無心に嘆く

なだめてもなだめても

寂しそうな顔をする

実家から

おれの印鑑を

借りに来るたび。

おれの印鑑が役に立つのは

土地の値上がりするたび

つぎつぎに田畑が切り売りされて

どこかへ消える

もう

永久に戻らない

美しい田畑

古里の小川

昔の夢となって

悲しみがこみあげてくる。

おれの大切な印鑑

やがて

無用になって

なんの役にも立たぬ時

もう二度と

実家からは

印鑑を借りに来ない。

療養所のおれには

縁がないだろう。

だが

おれは印鑑を

堅く握ったまま

ながく続いた

おらが農業も

ついに別れる時がくる。

あの鍬も馬も

いまは離れてしまった

田舎の素朴な生活が

むしょうになつかしい

残念でたまらない

おれはこの印鑑を

幾度も幾度も

力なく見つめるのだ。


中島栄一さんの過去記事


2030年 農業の旅→ranking


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プロフィール

Author:水田 祐助
岡山県瀬戸内市。36才で脱サラ、現在67才、農業歴31年目。農業形態はセット野菜の宅配。人員1人、規模4反。少量多品目生産、他にニワトリ20羽。子供の頃、家は葉タバコ農家であり、脱サラ後の3年間は父が健在だった。
yuusuke325@mx91.tiki.ne.jp


セット野菜のワンパック宅配 みずた観光農園

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